2018年03月13日

うつ病患者への鍼治療のランダム化比較試験(RCT)で、鍼が深刻なうつ病の症状を減少させることを発見した

結(ゆい)鍼灸院の藤井正道です。今回はうつ病の研究のお話です。関西中医鍼灸研究会のメンバーには海外の鍼灸情報を精力的に翻訳してくれる頼もしい仲間がいます。早川敏弘先生です。今回は早川先生の情報です。早川先生の要約と原本を参考にさらに藤井が要約したものです。

アメリカ国立医学図書館の医学データベース「パブメド(Pubmed)」に収録されているイギリス・ヨーク大学のマクファーソン教授を中心とした研究チームの論文「慢性痛とウツ病のプライマリケアにおける鍼:研究プログラム」は2017年1月30日に発表されています。
Acupuncture for chronic pain and depression in primary care: a programme of research.
MacPherson et al.
Southampton (UK): NIHR Journals Library; 2017 Jan.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28121095

※「パブメド(Pubmed)」には2016年1月に私と日大の酒谷教授の共同研究!「不安レベルへの鍼の効果と前頭前野皮質のNIRS活動計測」も収録されています。

☆うつ病患者への鍼治療のランダム化比較試験(RCT)で、鍼が深刻なうつ病の症状を減少させることを発見した

 イギリス・ヨーク大学の研究チームは、鍼治療を加えると、慢性痛やうつ病に対して、一般治療の効果を促進させることを発見した。
鍼研究の教授でイギリスとアメリカの研究チームといっしょに仕事をしているマクファーソン教授は、一般的な治療を受けている患者群と鍼治療を追加で受けている患者群を対象に研究した。
一般的な治療だけ受けている患者群と比較すると、鍼を加えた場合、明らかに、頭痛や片頭痛の発作を減らし、頸部痛や腰痛を減らした。鍼は、抗炎症剤、鎮痛剤で治療されても痛みがとれなかった変形性関節症の疼痛と機能障害も減らす事を示した。

鍼またはカウンセリングを、抗うつ薬などの薬物療法と比較した新しい臨床試験もおこなった。
北イングランドの755人のうつ病の患者に対し鍼とカウンセリングが、深刻なうつ病の症状を減少させ、治療から1年後もその効果が続いていることを発見した。
鍼をすることができる患者には鍼が効果的だった。何らかの理由から鍼をできない患者にはカウンセリングが効果的だった。鍼もカウンセリングも費用対効果が高い。

「うつ病の治療では、普通は、抗うつ薬を用いる。けど、それは、患者の半分以上に、効かないんだよ。」「鍼の臨床効果の一部には、プラセボ効果もあるかも知れない。でもこの研究は、鍼が慢性痛を減らし、プラセボ鍼よりも効果があるという明確な証拠を示している。」とマクファーソン教授は語る。
マクファーソン教授は続ける。「われわれの新しい研究結果は、慢性痛とうつ病の治療を新しいステップに進めるものだ。なぜなら、患者と専門家は、鍼をもっと自信をもって選択することができる。鍼は、ほかの治療と比べて費用対効果が良いだけじゃなくて、望ましくない副作用を起こす薬を減らして、疼痛や抑うつ気分を減らすことができるんだよ。」

この論文の意図としては以下のように書かれていました。

近年、鍼治療の利用が増加しているが、そのエビデンス(証拠)は確立されていない。臨床効果と費用対効果がはっきりしていない。エビデンスを確立させることで、より多数の患者が鍼治療を利用できるようになるし、政策立案者や意思決定者が鍼治療を政策的に採用していく参考になる。そのためにうつ病の鍼治療のランダム化比較試験(RCT)を行った。
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posted by ゆい at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | うつ、パニック障害

2018年03月06日

不安症状が改善しました。老人性うつ病?認知症?

今回は認知症のお話です。
70歳代前半の女性患者が娘さんに連れられて、来院されました。
某大学病院の 老年・高血圧内科に通院され 抗うつ剤 ジェイゾロフトを処方されています。老人性うつ病か認知症かはっきりした診断は出ていないということでした。

ふつうに話はできる状態です。ご家族がお困りなのは、ひんぱんにかかってくる電話でした。女性患者のお連れ合いと娘さんは昼間は仕事に出かけます。すると女性患者さんは何度も2人に電話をかけてきます。たまに電話に出れないことがあると、今度は親戚や知り合いに「棄てられた」と電話をかけるとのこと。数ヶ月前からひどくなったそうです。
「何とかならないか」と当院にいらっしゃいました。ジェイゾロフトで一時的によくなったが、すぐにもとに戻ったとのことでした。
治療中も 何度も娘さんの所在を確認されます。

鍼灸すると うつ病はよくなりますが、認知症の認知機能については なかなかよくなりません。しかし家族がストレスをうける諸症状、不安でしゃべり続けるとか、電話をかけ続ける、あるいは怒鳴ったりするという症状は結構 早くよくなります。つまり介護する側は楽になります。

今回も約20日間に4回治療したところ、電話はほとんどかかってこなくなりました。当初訴えられていた膝の痛みもなくなり、それまで食べられなかった朝食も食べられるようになり治療を終了しました。治療中、何度も娘さんの所在を確認されることもなくなりました。不安でおびえたような顔つきが、にこやかなものに変わりました。

※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

写真は万博公園の梅です。3月4日 暖かな日曜に撮ったものです。
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posted by ゆい at 14:19| Comment(0) | TrackBack(0) | うつ、パニック障害

2018年02月23日

「おかあしゃん」とスタッフを呼ぶ3歳の女児、子供さんの同伴について

今回は鍼灸治療を受ける時の子供さんの同伴についてのお話です。

☆「おかあしゃん」とスタッフを呼ぶ3歳の女児、子供さんの同伴について

1〜4歳児の子供さんのお母さんから時々 相談されます。
「治療を受けたいのだが、子供の預け先がない、子供といっしょに治療をうけてもかまわないだろうか」と。

たいていは以下のように回答しています。
「鍼灸治療を受けていただく時は 鍼灸の感覚に集中していただく方が治療効果が上がります。例えばテレビを観ながら治療を受けると 効きが悪くなります。子供さんがいるとそちらに気がいって治療に集中できなくなります。でも どうしても預け先がないときは、お連れ下さい。一度 やってみましょう。」

来院いただく時間も、比較的 スタッフの手が空く12時頃を指定して来院いただきます。子供さんによって、いろいろです。スタッフや私がなんとかあやしながら治療できる場合もあれば、泣いてばかりでうまくいかない場合もあります。私が背負ったり、前抱っこして治療することもあります。やってみなければわからない、子供さんとの相性もあるしというのが正直なところです。ですから託児ありという訳ではありません。グレーゾーンです。

午前中 最後の治療をしていると「おかあしゃん、これ見てくれる」という声が聞こえてきました。40代の女性患者さんが同伴されている3歳の女児の声です。でも女性患者さんは治療中でリラックスされていて 半ば眠られています。おかしいなと思っていると、「おかあしゃん」と呼ばれているのは当院の女性スタッフとわかりました。女児はお母さんのことは「ママ」と呼び、女性スタッフのことを「おかあしゃん」と呼んでいたのです。目を合わせるとにこっと笑ってくれる可愛い末っ子さんです。

これぐらい打ち解けていただくと、お母さんも治療に集中できます。でも誰でもうまくいくわけではありません。

※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

◆花粉が飛び始める季節です。花粉症の根本治療については以下をご覧下さい。
http://hari.yuisuita.com/category/1461803.html

◆関西中医鍼灸研究会のお知らせ

パーキンソン病の鍼灸治療 鍼灸治療で出来ること、出来ないこと  講義と実技指導  講師 冨田祥史会員 36名定員 
《日時》3月17日土曜  18時〜21時
《場所》大阪市立総合生涯学習センター(大阪駅前第2ビル5F) 第4研修室

下記から事前申し込みをお願いします。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/yuihari/top.htm

写真は患者さんの赤ちゃんをおんぶして治療した時の私です。
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posted by ゆい at 14:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2018年02月21日

3回で治った逆子

結(ゆい)鍼灸院の藤井正道です。暖かくなったり寒さがぶり返したりと体調管理が大変な日々です。私も季節や気候に応じて鍼灸治療を加減しているので、この季節はとくに気を使います。今日は妊娠 出産にまつわるお話です。

☆3回で治った逆子

何か不調があると結(ゆい)に来院くださる30代前半の女性、今回は逆子でした。2週間3回治療したところ、治りました。

患者さんからは以下のようなコメントをいただきました。
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3回の治療で逆子を治して頂きました。逆子体操は大変きつく体調が良くない時は続けるのは難しいこともあったので鍼で治療して頂いて助かりました。コメント以上

逆子は出産までの時間との闘いの面もあるので、4〜5回は続けて治療してもらうようお願いしています。何かの原因で逆子が治らないことや、いったん直っても逆子にもどってしまうこともあるので、5回程度を上限としています。直る時は3回程度で直ることが多いというのが臨床的実感です。今回も3回でした。

9ヶ月の終わり妊娠35週に入ると逆子が返る率が極端に減るといわれていますので、逆子を指摘されたらできるだけ早く来院されることをお勧めしています。今回の症例は8ヶ月でした。

妊娠時のつわりや腰痛、出産後の疲れや肩こり腰痛、乳汁分泌不全などなど鍼灸は妊娠出産をしっかりサポートしています。

※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

◆花粉が飛び始める季節です。花粉症の根本治療については以下をご覧下さい。
http://hari.yuisuita.com/category/1461803.html
結の新しい花壇です。

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posted by ゆい at 13:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 女性科

2018年01月31日

スギ花粉が飛び始めたのかな?

結はリフォームも終わり1月29日から平常通り開けています。2000年に移転してきた時のような真っ白の壁紙、天井にもどりました。「明るくなったね」「広く感じる」と患者さんには好評です。
治療室の間にあった段差もなくしました。患者さんにはこちらも好評ですが、私やスタッフは、かつて段差があったところでは つい足を踏み込んでしまいます。身体が段差を覚えているようです。

☆スギ花粉が飛び始めたのかな?

鼻水がでてきた、くしゃみがあるといった声が聞こえてきました。スギ花粉が飛び始めたのかもしれません。もちろんすぐに治していますが。

☆花粉症の鍼灸治療、結(ゆい)では

花粉症の季節。花粉症には週に1回程度 鍼灸治療して あとは自宅で毎日 お灸をしてもらうようにしています。
お灸といっても痕のつかない痛くないマイルドなタイプ。うまくいくと、その季節が楽になるだけでなく、次の年の花粉症の発症がなくなるか、ほとんど気にならない程度に抑えられる場合もあります。
1ヶ月程度かけていったん症状をなくすことに成功したら、あとは症状が出るたびに治療していくというやり方も可能です。治療には段階があります。お薬を飲んでいらっしゃる場合は

第1段階
治療して花粉症の症状がなくなるか、非常に軽くなる。薬は飲み続けている。

第2段階
薬をやめても、花粉症の症状が再発しない。

第3段階
鍼灸治療の間隔を1週間以上あけても、花粉症の症状が再発しない段階で、控えていた外出を積極的に行うよう指導することもあります。自宅でのお灸は続けてもらいます。
私は積極的な外出を「天然の減感作療法」と呼んでいます。

「減感作療法」とは、アレルギー症状を起こす原因物質(花粉症の場合はスギ花粉など)のエキスを、長い時間をかけ少しずつ注射し、体を徐々に慣れさせていく西洋医学の治療法。 2〜3年と長期間にわたるため根気が必要ですが、成功すればそれ以降は薬なしの生活が期待できるという点で注目されています。

結では症状が出ないようになった身体で、外出してもらい、花粉に身体を慣れさせていきます。普通に暮らしてもらいます。「減感作療法」より短期間に同じ効果が上がっている感触をもっています。
以上のような具合になります。

第3段階までいって、しばらく花粉症の季節を過ごした人の中に、次の年の花粉症の再発がみられない人がいらっしゃいます。
どの程度で満足して治療を終了するかは患者さんの気持ちひとつです。話し合います。
◆花粉症 詳しくは以下をご覧下さい。
http://hari.yuisuita.com/category/1461803.html

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posted by ゆい at 18:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 花粉症

2018年01月21日

先週は肝陽上亢(かんようじょうこう)の週でした

結(ゆい)鍼灸院の藤井正道です。来週はリフォームのため月曜 火曜しか開けません。ご注意ください。1月29日月曜からは平常通り開けます。

☆先週は肝陽上亢(かんようじょうこう)の週でした

先週は暖かい日が続きました。あたたかくなるのは多くの人には喜ばれますが、急に暖かくなると具合の悪くなる人もいらっしゃいます。
春にむけて木の芽がめぶく準備をするように、人の身体の気も動き始めます。人も植物も季節で変化していくのです。このとき気がスムーズに動けばいいのですが、うまくいかない人もいるのです。先週は頭痛やイライラのひどくなった患者さんを結構 治しました。

急に気温があがる日は、めまいや吐き気、耳鳴りなどもおきやすい日です。寝つきが悪くなりやすく、明け方の4時5時に目が覚めてしまう人もいます。顔は熱っぽいのに足はいつもより冷たく感じたりします。陽気が急に上がる症状を伝統的中医学では肝陽上亢(かんようじょうこう)といいます(肝臓は関係ありません)
足を触ってみて冷たくなっている人や足の冷えを感じる人は足湯をしてください。

☆寒のもどりで痛みやこりが

月曜から気温が下がる予報が出ています。先週から動き始めた身体の気が、今週 月曜からの寒さで滞ると今度は痛み、こりに変わります。雨で湿度が上がってくるとよけいにこります。こちらはゆっくり入浴したり、ストレッチしたりして気をめぐらせてあげてください。もちろん肝陽上亢にも痛み こりも鍼灸がよく効きます。

◆花粉症を鍼灸で予防、治療しませんか。詳しくは以下をご覧下さい。
http://hari.yuisuita.com/category/1461803.html

※ 1月は院内リフォームのため24日水曜から27日土曜を臨時休診させていただきます。臨時休診中も電話予約は受け付けております。
結は1989年に開院し、2000年に現在の建物に移転しています。17年たって内装も痛んできたので壁も天井も全面的に張り替えることにしました。一部の床の段差も直します。
専門誌 中医臨床12月号に耳管開放症と狭窄症の鍼灸治療という論文を書きました。専門家治療家 学生のみなさまどうぞお読みください。
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posted by ゆい at 11:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 頭痛、肩こり