2010年07月31日

男も日傘

猛暑がもどってきました。
日傘代わりに、愛用の折りたたみ傘をさして歩いています。昨年は恐る恐る数日さしただけでしたが、今年は梅雨明け以来ずっと続けています。本当に涼しい。男性用の日傘も売られていて、性能的には上なのでしょうが、あまりものを増やしたくない私としては当分これでいくつもりです。
帽子なんかよりずっと涼しいというのが実感。当初は恥ずかしかったですが1週間もすれば慣れてきました。男性諸君!猛暑をのりきるために傘を使いましょう。とくに外回り営業の方は、涼しくて汗が早くひくのでお勧めです。汗びっしょりでエアコンのきいたオフィイスに入ると、汗が冷え風邪をひきやすくなります。中医学では「肌のきめが開いた状態で、寒邪に遭遇すると、寒邪は用意に人体に侵入する」といって警戒しています。

ちなみに愛用している折りたたみ傘はモンベルのトレッキングアンブレラ。軽くて丈夫、開くと普通の傘並みに大きいので重宝しています。傘布を張り替えたり、小修理をしたりして10年以上使い続けています。

◆専門家、学生の方へのお知らせ
8月29日日曜に東京で日本中医学会設立記念シンポジウムが開催されます。どうぞご出席ください。私も出席します。事務局からメッセージが届きました。

 長きにわたり、日本中医学交流会の活動をご支援いただきありがとうございます。本会は、発展的解消をして、来る8月29日に日本中医学会として生まれ変わります。
 全国の、中医学の臨床、教育、普及に貢献されてきた方々が結集して、更なる中医学の発展を促そうという会です。湯液や鍼灸など治療方法が違っても、理論的に意見交換ができるのが中医学の特徴。今回も、いろいろな分野の講師が中医学について語ります。中国からも糖尿病の専門家が来日されます。中略
今回の設立記念シンポジウムに参加いただくと、日本中医学会の初年度の年会費が免除されます。是非とも、皆様のご参加をお待ちいたしております。
 シンポジウムの詳細及び参加申し込みは学会(設立準備会)HPへ。
http://www.jtcma.org/

2010年02月18日

咳喘息にさせない

風邪が流行っているようです。風邪の後に咳が残り、1〜2ヶ月続く場合もあります。最近では風邪の後に長く続く咳の状態を咳喘息と呼ぶようになっています。

☆咳喘息にさせない

結(ゆい)では、このところ毎日のように、風邪から咳が続き始めた患者さんの治療をしています。ベットに仰向けに寝ると咳が出てくることが多いので、ベットの上に座椅子を設置し、座った状態で治療します。この季節は座椅子が大活躍です。夜、咳が苦しい方は上半身をおこして眠る方が楽です。寝具を工夫してください。
だいたい1週間に2回ほど針灸治療をすると咳が鎮まってきます。針はよく効きます。今日治療した30代の女性の咳も1週間に2回の治療でほぼ収まりました。この女性は昨年の同じ時期に風邪をひき、長く続く咳に苦しんだそうです。咳は2ヶ月続きました。
1〜2ヶ月続く咳は苦しいものです。1回の咳で約2cal消耗するといわれ、100回咳をしたとすると、ジョギングを30分したのと同じエネルギ−を消耗するといわれています。
1〜2週間で咳をなくすのか、1〜2ヶ月苦しむのか。読者のみなさんは風邪をひいたら、できるだけ早く信頼できる鍼灸院で治療を受けてください。

☆家庭でできる自然療法

家庭でできる咳止めの自然療法は、レンコンです。レンコンを皮ごとすりおろして、しぼったものにハチミツを加え、お湯を加えて飲みます。レンコンはビタミンCが多く含まれ、風邪の初期にもいいようです。痛んだ粘膜も修復されるため、咳止めにもなります。
我が家では皮ごとレンコンを細く切って、炒めます。ふつうの食事をする中で咳を落ち着かせる献立に気をくばります。 銀杏(ぎんなん)も咳に効きます。こちらは鍋の具材に使います。
風邪や咳についてもっと知りたい方は以下をご覧ください。
http://www.yuisuita.com/acupuncture/cat_cold/
◆花粉症の季節です。花粉症治療はこちらをご覧下さい。
http://hari.yuisuita.com/category/1461803.html
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。

2009年05月24日

メキシコからの手紙 A(H1N1)新型インフルエンザ

知人を通して、メキシコ留学中の日本人学生とメール交換することができました。私が質問し回答してもらう形にしました。5月5日に質問し5月中旬に回答が来ました。メキシコだけ死亡率が高いことが疑問となっていますが、ひとつの回答となるかもしれません。以下にメキシコからのメールを一部抜粋して掲載します。ちょっと長くなって申し訳ないのですが、興味ある方はお読みください。

☆メキシコからの手紙 A(H1N1)新型インフルエンザについて

メキシコにいる長坂(仮名)です。忙しくて藤井さんの質問への回答が遅れて申し訳ありません。あまり正確なことは言えませんが、自分が周りから聞いた範囲での答えたいと思います。

質問 メキシコシティで医療保険に入っている人は何%ぐらいいるのですか。

回答 メキシコシティの医療保険への加入者は分からないのですが、メキシコ全土では2003年の調査で42.62%が加入しています。この医療保険は雇用従事者と学生(大学生まで)に加入する権利がある保険で、政府、企業、雇用従事者がお金を出しあう形をとっています。企業が加入義務を果たしていない労働者、農民、自営業者、インフォーマルセクター従事者が入れる任意の社会保険(保険料が高い)は全体の0.31%しか加入していず機能を果たしていません。
これらの社会保険に入っておけば、メキシコの公立病院でほぼ無料で治療が受けられ、薬代もほぼただです。しかしこれらの公立病院は満足のいく設備をもたず、薬の在庫も十分でなく、待ち時間もすごく長いと聞きます。自分もバスで病院の前を通ったりするのですが外まで人が並んでいるのを見ます。民間の病院はそれとは違い充実した設備を備えているといわれますが、自由診療で社会保険は一切適用されず、治療費は高くつくため富裕層しか行けないといわれています。社会保険非適用者は病院に一切かかれないかというとそうではなく、メキシコ保健省がやっている医療扶助サービスがあるそうです。
医療費は所得によって免除されますが、医療扶助サービスのための専用の病院に行かなければなりません。この病院は上記の公立病院よりも劣悪で、待ち時間が極めて長いことや、薬の在庫はほとんどなく手に入らないと言われています。また数もすくなく、農村部ではこの制度にアクセスするのがさらに困難だといわれています。

質問 そもそも風邪やインフルエンザで医者に行く習慣はあるのですか。

回答 さらに問題は公立病院に行っても、重症でないと家で安静にしろとしか言われない場合が多く、症状が重くなければ病院にいかないことです。メキシコでは風邪やただのインフルエンザの症状で病院にかかることはまずないし、そのための医者もいないと現地の人はいいます。
症状が重くない疾患や怪我の場合、多くの貧困層はドラッグストアが運営する低額の医療相談所(若手の医者が副収入を得るため働いている)に行き、ドラッグストアの市販薬を買って治そうとするそうです。

質問 当初 新型インフルエンザのメキシコの感染者で重症例に若者が多いということが問題になりました(現在は死因を精査し、若者が多いという認識は修正されつつあるようですが)季節性インフルエンザでは老人や幼少の重症例が多いので、疑問が生じています。
私(藤井)は重症例は別としても、感染者としてカウントされている人の中に若者が多いのは、人口構成が影響しているのではと考えています。未確認情報ではメキシコ国民の50%が15歳以下という話もあります。人口の中の若者の比率が圧倒的だから、若者に感染者が多いのではと考えています(あくまで5月5日時点の推測です)感染者で重症例に若者が多いといのは何が原因と思われますか。またメキシコの人口構成はどうなっていますか。

注釈 日本でも高校生の感染が多いのですが、その事実がウイルスの特性に基づくのかそうでないのかが医学的疫学的にはっきりすれば、対処法に大きな違いが出てきます。例えば老人に感染の危険が少ないなら感染地域でも、高齢者向けのディケアが継続できるし、老人施設の運営も平常どおりできるようになります。

回答 メキシコの若年人口の比率は分かりませんが2000年で0から14歳で34%を占め15から65歳で61%だそうなのでかなり高いと思います。特に今回メキシコシティの郊外地区に住む人が多く感染しているといわれています。この郊外地区は一般に貧困地区と言われ地方から流入した人々が住んでいて若者の割合かなり多いです。またメキシコ全土の集計よりも明らかにメキシコシティは若年層の割合は高いです。そう考えるとその推測には一理あると思います。

質問 若者に重症例が多いのはエイズがメキシコシティで流行っていることと関係しているのではという記事が朝日新聞で4月末に出ています。エイズにかかると免疫力が極度に低下し他の病気が重症化しやすくなります。エイズはメキシコシティの若者の間で流行っているのでしょうか。

回答 エイズがはやっているかどうか詳しい統計をみていないので分かりませんが、学校の教員は流行していると断言していました。その理由として、エイズ自体が同性愛者、バイセクシャルの人の病気だとみなされていて、ホモフォビアの強い土壌のため、感染が分かっていてもできるだけ感染している事実を隠そうとするため、パートナーや昔のパートナーから感染が拡大していっているそうです。有名人が感染して、それが原因で死んでも、癌で死んだと発表する場合が多々あるそうです。

注釈 ホモフォビアとは同性愛または同性愛者に対する不合理な恐怖感・嫌悪感・拒絶・偏見のこと。男性同性愛に対するものが多い。

2009年05月22日

中医学的新型インフルエンザの予防法

今回はインフルエンザや風邪の中医学的予防法です。大阪神戸で新型インフルエンザが確認されています。みんなマスクをして電車に乗っていますが不思議なことに誰も電車の窓を開けようとはしません。今は季節性インフルエンザの流行する寒い2月ではありません。風薫る5月です。もうスギやヒノキの花粉も飛んでいません。感染予防には換気がとても大切です。窓を開けて新鮮な空気を入れましょう。このところ電車に乗っては窓を開けている私です。

☆中医学的インフルエンザの予防法、季節性も新型も同じやり方です。

1.予防のためにお灸をする。足三里 大椎(だいつい)というつぼにお灸
足三里 大椎にお灸をすれば感染予防効果があります。中国の六枝特区人民医院では68年の香港風邪(新型インフルエンザの一種)の流行時、80例の患者さんに、大椎の鍼と灸等を用いて、80例に効果がありました。上海でも1万例を実験して、足三里の灸は、インフルエンザや風邪に予防効果があると報告されています。お灸は温和な熱の、あとのつかないものを使います。やり方は当院で指導します。
大椎(だいつい)は首を前に倒した時に襟首のところに飛び出る骨の下にあるツボです。
足三里は膝の外側 膝のおさらの下に手をあてて小指の付近。押して 痛いとかおもだるいとか感じるところあるツボです。

お灸はよもぎの葉を精製したものです。お灸の煙は除菌、抗ウイルス作用を持っているといわれています。中国で新型肺炎(SARS、サーズ)が流行したときも予防にお灸の煙が用いられました。お灸の煙に感染を防止する効果があります。家でお灸をすると身体の免疫力をあげる効果と煙で感染予防をする効果で一石二鳥です。最近は後のつかない、やわらかい熱感のお灸が市販されています。当院でも扱っています。

2.酢の蒸気をだす
お酢と水を半々程度にまぜ、わかして、酢の蒸気をだします。
やかんをストーブにかけても、いいし台所でガスの火にかけてもいいし、要するに 酢のにおいが部屋にたちこめる ようにします。加湿器に酢をいれるのもいいやり方です。 とくに家族の誰かがインフルエンザにかかった時は絶対におすすめ。うつるのを防ぎます。のども楽になります。

3.酢でうがいをする
水道水もいいけれど、酢のうがいもききます。口もさっぱりして気持ちいいですよ。

4.子どもが発熱した時、高熱をさげるやり方
冷水につけて硬くしぼったタオルで、背中の背骨の両わきを上から下へまさつする。乾布まさつの要領ですが、上から下へ一方通行に行います。きつめにやや力をいれて何回か行います。背中が赤くなるまでやります。

5.部屋を別にする
インフルエンザにかかった家族を別室に隔離します。食事も別室でとってもらい家族内感染を防ぎます。別室は換気をしてください。今は5月ですから窓を開けたままでもいいでしょう。かかってしまった家族とは必要最小限の接触にとどめるため、家の中で携帯電話をつかうのもひとつの方法です(ふつうの風邪の時はそこまで気を使わなくてもいいでしょうが)使ったティッシユ等はふたのついたゴミ箱か、ビニール袋に入れて密封するようにしてください。マスクをして別室に入った時はすぐにそのマスクはビニール袋に入れて封をして廃棄してください。マスクの表面にはウイルスが付着している可能性大、顔や手は洗えばすみますが、マスクは洗えません。

以上の内容は一部をインフルエンザ予防法としてHPにもアップしました。

http://www.yuisuita.com/acupuncture/cat_cold/entry_1010/

2009年05月18日

新型インフルエンザA(H1N1)予防法

気温が上がったり下がったり調整が大変ですね。風邪にお気をつけください。今回はインフルエンザや風邪の予防法です。
神戸や大阪で新型インフルエンザが発見されマスコミは大騒ぎしています。季節性インフルエンザがまだまだ流行っていることは国立感染症研究所 感染症情報センターのホームページをみるとわかります。
https://hasseidoko.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/index.html
おそらく季節性インフルエンザとされている症例のいくつかは新型インフルエンザA(H1N1)でしょうから、精査するようになれば次々に患者は発見?されるようになるでしょう。すでに新型インフルエンザA(H1N1)にかかって治った人も多いはずです。今日の朝日新聞1面では中村通子編集委員が「あわてる必要はない。このウイルスはすでに、従来の季節性インフルエンザと同様の弱毒性であることが専門家によって示されている」と書いています。同感です。私たちは季節性インフルエンザが流行する冬と同じように暮らしていけばいいのです。
1. 手洗い しっかり頻繁に手洗いしてください。できれば顔や髪の毛も頻繁に洗ったほうが効果的です。手の皮膚が荒れていないこと、傷がないことが一番大切です。薬用石鹸を使って肌荒れがおこるようなら逆効果。消毒薬を使って肌荒れがおこるようなら使わないでください。
2. うがい 効果は手洗いほどには確認されていません。手洗いは各国で奨励され効果が確認されていますが、うがいは日本で好まれるやり方です。うがい薬は必要ありません。うがい薬と水道水(消毒用塩素が微量に入っています)を比較すると水道水の方に軍配が上がっています。うがい薬がのどの粘膜を傷つける場合があるのが関係しているのかもしれません。
3. マスク 普通のマスクでは風邪やインフルエンザにかかってしまった人が他の人に移さない効果は確認されていますが、感染予防の効果は確認されていません。過信は禁物です。マスクをするなら1日に何回も取り替えてください。マスク表面にウイルスが付着している可能性が高いので、マスク表面はさわらないこと。ひもを持ってはずしてください。使用済みのマスクはふたつきの容器に捨てるか、ビニール袋に密閉して捨ててください。
4. メガネ 普通のメガネでも目の粘膜からのウイルスの侵入をある程度防ぐことはできます。仰々しいゴーグルをつけるのは、はばかられても伊達メガネならOKでしょう。ウイルスは目と鼻と口から侵入してきます。目をこするくせはやめましょう。
新型インフルエンザA(H1N1)の警戒すべき点はその変異の早さです。今は季節性インフルエンザと同じですが、感染が広がる中で毒性を増すことにならないかと心配されているのです。社会全体のためには、かからないようにすることは大切です。ただし、かかってしまっても悲観することはありません。普通の体力の人は家で休んでいれば治るのです。WHOは「今までのところ、新しいA(H1N1)ウイルスにかかったほとんどの人々が、インフルエンザ様症状(喉頭炎、せき、鼻水、熱、不快感、頭痛、筋肉痛などの)を経験して、抗ウイルス薬治療(タミフルやリレンザ)なしで回復しました」と表明しています。アメリカの疾病対策センター(CDC)も、たいていの人は自宅で安静にしていればいい、としています。タミフル販売元のスイス、ロシュ社によると07年までの服用者4500万人のうちの3500万人が日本人です。
一度かかった人は免疫ができますから、新型インフルエンザA(H1N1)が変異し毒性を増したとしても軽症ですむ可能性が高くなります。社会全体のためには、かからないようにすることは大切ですが、かかって回復すれば個人的リスクは減少するのです。あわてず淡々と暮らしていきましょう。

2009年04月28日

今回の新型インフルエンザは弱毒性の可能性大

ちょっと肌寒くなっています。調整が大変ですね。風邪にお気をつけください。
今回の新型インフルエンザ、A(H1N1)インフルエンザウイルスは今のところ弱毒性の可能性が高そうです。ライオンに備えて準備していたら、ネズミが出てきたというところです。大山鳴動ネズミ一匹というようなことにならなければいいのですが。

☆今回の新型インフルエンザは弱毒性の可能性大

今まで新型インフルエンザは強い毒性の鳥インフルエンザが突然変異することを想定して対策がたてられてきました。今回の新型インフルエンザはメキシコ以外では死者は出ていません。いずれも自然治癒しています。一般のインフルエンザと同程度か、それより弱い毒性なのではないかという専門家の意見もあります。私の信頼する外岡立人(とのおかたつひと)氏 (元小樽市保健所長)は今日、自身のHPに以下のように書かれていました。

「フェーズ4になっても、これまで考えてきたフェーズ4の内容を全面的に適用することが、適切かどうかは不明である。これまでのフェーズ分類は、H5N1鳥インフルエンザウイルスのような毒性の高いウイルスが変異して、新型インフルエンザになったものを想定してきていた。または、SARSのような致死率の高いウイルスである。最大64万人死亡する可能性があると説明されてきた”新型インフルエンザ”は、あくまでもH5N1ウイルスによる、重度のインフルエンザを想定したものだった。現在のA(H1N1)は病原性は弱い(メキシコの一部の患者は別として、メキシコの大多数の患者や、米国、カナダ等の患者は軽症である)。かつてのSARSの場合とは本質が異なる。現在発生した場合、国内で最大64万人死亡する類のインフルエンザではない。
 新規発生ウイルスに対する考え方としては基本的に同じであるが、そのウイルスも種類によって病原性が異なるから、フェーズ4にパンデミック危険度が上がったとしても、個々のウイルスの特性に従って対応が変わるべきである。」以上
外岡立人氏のHPは以下です。
http://nxc.jp/tarunai/index.php?action=pages_view_main&page_id=23
私も外岡氏の考えに賛成です。首都メキシコシティは2200万が住む大都市です。メキシコの1600名という感染者の数は少なすぎます。数万、数十万の数の軽症の自然治癒した患者さんたちがカウントされないで存在すると考えた方が自然です。一般のインフルエンザでも死亡します。日本とメキシコの人口はほぼ同じですが、日本でも毎年1万人近くの人が死亡しています。数万、数十万の中の103人の死亡と考えると脅威の感じ方は違ってきます。しかも103人についても本当に新型インフルエンザが原因かはっきりしないところもあるのです。

騒ぎ立てるマスコミはメキシコシティの実像を伝えません。
メキシコシティは大気汚染の激しい都市です。標高2240mの高さでしかも盆地になっていて空気が流れにくくなっています。あふれかえる自動車の排ガスがよどむ構造。空気の薄さと世界有数の大気汚染が加わった世界で最も呼吸の困難な街とも言われているのです。外務省のHPには旅行者に向けて「目やのどの刺激症状やひどい時には呼吸困難、視力低下、頭痛、胸部痛といった症状が見られます。交通量の多い地域を長時間歩くことは避けましょう。また、帰宅後はうがいや手洗いをしてください」といった注意事項が掲載されています。
ここを訪れた旅行者が、その後 飛行機で帰国し呼吸器の症状を訴えるのはよくあることではないでしょうか。飛行機の中も乾燥していますし、海外旅行の後に風邪をひくのもよくあることです。
大気汚染のひどいメキシコシティの庶民がちょっとした喉や鼻の症状、咳などで病院に行くことはないでしょう。メキシコの医療の実情はわかりませんが、風邪ですぐ医者に行けるのは日本が国民皆保険の国だからです。医者は「よっぽどひどくなった時に行くところ」と推測できます。WTOの調査が進めば、メキシコとその他の国の落差の原因もわかってくるでしょう。

インフルエンザというとすぐに「タミフルが効くか?」という話になります。全世界のタミフル使用量の77%を使っている日本ならではの議論です。ほとんどの人が今回の新型インフルエンザでは自然治癒しているという当たり前の話から冷静な議論をしていきたいものです。まずは落ち着いてゴールデンウイークをお楽しみください。