2020年07月23日

新型コロナウイルス感染症対策 全国一律自粛ではなく もっとスマートなやり方があるでしょう。21世紀型の対応を。遺伝子工学と計測化学、情報科学の活用を。

新型コロナ感染症の感染が広がっています。東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が国会に参考人として呼ばれました。国会に児玉教授が呼ばれたことは ひとつの希望です。最大野党 立憲民主党のHPでも報告されています。与党も野党も真剣に考えていただきたいものです。全国一律自粛ではなく感染防止と経済を両立させるやり方があるのですから。
https://cdp-japan.jp/news/20200716_3241

参院予算委員会で7月16日午後 閉会中審査で「新型コロナウイルス感染症への対処等」に関する集中審議が行われ、参考人として東京大学先端科学技術研究センターがん・代謝プロジェクトリーダーの児玉龍彦氏、新型インフルエンザ等対策有識者会議・新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏、公益社団法人東京都医師会会長の尾崎治夫氏が出席しました。当日の動画は以下からどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=tFcF8bTmJ4g

◆感染集積地での大規模なPCR検査を

児玉教授は感染集積地を正確につかみ、集積地(エピセンター)での大規模なPCR検査を提唱しています。全国一律自粛では、感染は止まらない、自粛と再開後の拡大を繰り返す悪循環に陥るとの指摘もされています。残念ながら今の日本が陥ろうとしている状況です。
大切なのは感染集積地とそうでないところを分け、感染集積地に医療資源、医療従事者を集中して送り込むこと。無症状感染者を見つけ出し、しっかり隔離して、感染地域をきれいにすることが重要だと指摘されています。現在は新宿が感染集積地になっているから、そこで働く人や区民の50万人のPCR検査をやろうと提言され、予算も含め具体的に示されています。以下の国会提出資料をご覧ください。
https://www.ric.u-tokyo.ac.jp/topics/2020/ig-20200716_all.pdf
PCR.png
◆大量検査は可能だ

日本でも大規模PCR検査をする力があります。児玉教授自身も東大でPCR検査を実際にやっています。「(東大)先端研だけでもフルにやれば1日数千件は簡単にできる。数万件まで行くかもしれない。東大なら全体で10万件くらい簡単にできる。」(7月3日、日本記者クラブ)と発言されています。
でも現在は手足を縛られた状態です。東大も感染症対策としては法律上できない。臨床研究という名目でやっているとのことです。大学や研究機関を活用すれば検査は飛躍的に伸びるでしょう。京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授も以下のように発言されていました。
「iPS研には新型コロナのPCR検査をできる機器が30台くらいある。その機器を使って普段からPCRをしている研究員たちが何十人かいるが、自粛で多くの人が実験せずに在宅になっている。大学の研究所などの力をうまく利用すればPCRの検査能力は2万をこえて、10万くらいいける可能性がある。研究者として検査能力の向上に貢献したい」以上

◆感染者が多くなると、危険度が高くなり、さらに感染者が増える

街の中で感染している人が多いと空気感染に近いことがおこってしまうという指摘がありました。もっともな指摘です。例えば感染者のほとんどいない鳥取県の映画館で映画を見るのは安全ですが、新宿で映画を見るのは危険かもしれません。感染度によってガイドラインも変化させる必要があります。
感染経路.png
◆大量で精密な検査と隔離、治療は経済と感染防止を両立させる道

7月23日付日経メディカルは
「免疫パスポート」なんてあり得ない、ただし…という表題で児玉教授にインタビューしています。以下 要約です。

抗体検査を活用することで、通常の生活を取り戻そうという動きも広がっている。新型コロナウイルスの抗体検査を定量的かつ大量に測定するプロジェクトを推進する東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦氏にその構想を聞いた(文中敬称略)。

──先生は、東京大学先端科学研究センターなどのメンバーからなる新型コロナウイルス抗体検査機利用者協議会のアドバイザー会議代表として、新型コロナウイルスの抗体検査の定量的かつ大量に測定するプロジェクトを推進されています。抗体検査をどのように活用することをお考えですか。

児玉 疫学調査のための活用を提案しています。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体検査を500〜1000人程度のユニット全員に行い、抗体検査陽性者が多いユニットを見つけます。そのユニットでは感染が広がっている可能性がありますので、さらに個々人に対してPCR検査を行い、有症状の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者だけでなく、無症状の感染者も拾い上げる。そうすれば、効率的な感染拡大予防の介入が可能になります。有症状者を隔離するだけではCOVID-19の感染を制御できず、無症状者の拾い上げがとても大切と考えます。

 ユニットとしては、例えば介護施設であれば、利用者や介護に関わる職員だけでなく、掃除や食事、リネンを扱いような人々、その施設に出入りする全ての人を対象とする必要があります。関係者全てを抗体検査でスクリーニングし、全員が陰性ということになれば、そのユニットはひとまず感染リスクはないと判断でき、通常の生活が可能です。

 ご注意いただきたいのは、私が提唱するのはあくまで疫学調査のための抗体検査で、個人を対象に、抗体があれば通常の生活ができると判断する「免疫パスポート」とは意味が違います。

 なぜなら、抗体検査には限界があるからです。実際、我々の調査でも、その限界を確認しています。これまで、発症後1週間で約半数の患者で抗体価(IgG)が上昇し、約2週間で全ての患者で抗体陽性となるともいわれていました。が、それは重症例での話で、軽症者や無症候者では、PCR陽性者の0〜30%程度が抗体陰性となることを我々協議会の調査で明らかにしました。これは、幾つかの医療機関で網羅的に抗体検査を行い明らかにしたものです。施設によるばらつきがありましたので0〜30%との結果でしたが、平均すると2割程度は抗体陰性となる可能性があると考えています。

 東京大学病院に入院中の重症COVID-19患者を対象に抗体検査を行えば100%陽性となるのですが、軽症例や無症候例における抗体価の動きは重症例と大きく異なるのです。

──COVD-19対策は長期戦になり得るということですね。そうなると、4月に行われた緊急事態宣言のように、全国一斉の外出自粛という対応では社会が持ちませんね。

児玉 もっとスマートなやり方があるでしょうと言いたいです。21世紀型の対応として、我々が提唱しているのが、無症状者を把握するためユニットごとに疫学調査目的で抗体検査を実施し、抗体陽性者が多いエリアで感染者を同定するためのPCR検査を行い、その集団に最適な介入を行うというものです。一方、感染者がいない集団では普段通りの生活を可能とします(図3)。
検査システム.png
中略
 抗体検査とPCR検査を組み合わせれば、お互いの弱点を補うことができ、精度も向上します。実際、透析病院で抗体検査とPCR検査を組み合わせた疫学調査を実施したところ、感染者を把握できました。また、透析患者では感染が長引きやすいというデータも得られたため、透析患者に特化した対策も立てやすくなりました。

──「免疫パスポート」構想には論拠がないが、抗体検査は疫学的な調査に有効であり、その結果を介入に生かすことで、科学的な感染対策が効率的に進むということですね。ありがとうございました。以上 日経メディカル要約
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