2019年10月01日

医師と鍼灸師が同じ場で、同じ言葉で議論 日本中医学会

今週末10月5〜6日にタワーホール船堀(東京都江戸川区)で日本中医学会第9回学術総会が開催されます。
私は6日朝9時からの小ホールでの一般演題の座長を渡邊 善一郎先生(富士ニコニコクリニック院長)といっしょにつとめることになりました。10時20分 終了の後はそのまま劉 恩明先生の鍼灸実技講演「毫火鍼」(座長 浅川 要先生)に続きますのでとくに鍼灸師の先生方にはお勧めです。当日受付もあります。

一般演題は湯液(漢方薬)からと鍼灸からの報告がいっしょに行なわれます。医師と鍼灸師が同じ場で、同じ言葉(中医学用語)で議論するのが日本中医学会の特徴です。
敬称略で紹介すると以下のようになります。

◆ベーチェット病の口内炎に対する半夏瀉心湯
コ永健一郎*1、加島雅之*2
*1熊本赤十字病院 リウマチ科、*2同 総合内科

◆CREST症候群に伴う右第3指尖端の潰瘍に対し四物湯で改善を認めた1例
佐々木 翼*1
*1帝京大学医学部附属病院 麻酔科

◆中医薬大学教材における妊婦慎用・禁鍼穴の調査
渡邉 大祐*1
*1 小雀斎漢方針灸治療院、つくば国際鍼灸研究所、天津中医薬大学針灸標準化研究所

◆頚椎ヘルニア手術後に対する接経取穴法の有用性
福岡 豊永*1  郷家 明子*2
岸 奈治郎*3 平馬 直樹*4
*1天空洞 *2明クリニック *3岐至漢方クリニック *4平馬医院

◆急性期病院でのDPC診療における鍼灸師の役割
三谷直哉*1
*1熊本赤十字病院 総合内科

◆中渚と侠渓への鍼灸手法の透天涼を用いた頭鳴りの一症例
弓削周平 木もれび鍼灸院

以上です。中医学は湯液も鍼灸も「弁証」という総合診断、「治則」という治療方針が同じなので同じ土俵で話が出来るのです。
例えば「ベーチェット病の口内炎に対する半夏瀉心湯」の半夏瀉心湯は傷寒論に出てくる処方で半夏4.0;黄芩・人参・大棗各3.0;乾姜・甘草各2.0;黄連1.0という組成ですが、効能は和胃降逆(意訳 胃の機能を正常化する)、開結除痞(意訳 みぞおちのつかえをとる)とされています。
効能の和胃降逆や開結除痞という言葉から どういうツボを組み合わせて使えば似たような効能になるかがイメージできます。また今回のベーチェット病の口内炎の患者さんは「脾気虚と胃熱を帯びた痰湿」と「弁証」されているため、これも参考になります。
鍼灸から私が考えると 中脘 合谷 足三里の平補平瀉、内庭の瀉法といった配穴になります。商陽の刺絡を入れる可能性もあります。
湯液の患者さんについて学ぶことは、鍼灸治療の幅を広げることにつながります。私がなかなか遭遇しないような病気の方もいらっしゃるので、世界が広がります。

いっしょに座長をつとめる渡邊 善一郎先生は最新号の中医臨床2019年9月号の巻頭インタビュー「ニッポンの中医臨床」に登場されていました。
日本中医学会第9回学術総会は以下からどうぞ
https://jtcma.org/meeting.html

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posted by ゆい at 18:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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