今回は専門家、学生向きの内容です。
◆8月末まで活動予定
岡山県倉敷市真備町、総社市で岡山県鍼灸師会のみなさんが被災者への鍼灸マッサージの支援を続けています。全国の鍼灸師、学生たちも支援に入っています。8月いっぱい続ける予定です。
真備町の被災者は倉敷市総社市の避難所に避難していて、岡山県鍼灸師会は各避難所に臨時治療所を開設し活動しています。2〜3人のチームを複数つくり、1つのチームがA避難所に午前中、臨時治療所を開設し 午後にはB避難所へ行くといった形です。
避難所の中を直接 回るのではなく別のスペースを準備してもらい臨時治療所をつくります。冷房はきいています。現在は昼間の活動が中心ですが、片付けや仕事から多くの被災者が避難所に帰っている夜の臨時治療所開設も追求されています。

避難所の一画を使って臨時治療所を設置
以下のサイトから登録を受け付けています。日本鍼灸師会と全日本鍼灸マッサージ師会賀共同して設けたサイトですが両団体以外の鍼灸師 学生の参加も歓迎しています。
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfXkAK69wzJkDsGQ7vtf31vFOXBEEqE8nSDQMLqM2K1sNhE1w/viewform?c=0&w=1
◆岡山県から派遣されている岡山県鍼灸師会の活動
岡山県鍼灸師会は岡山県と西日本豪雨の直前7月5日に大規模災害に備えた協定を結んでいます。
※以下は 協定締結を報じる山陽新聞の記事です。翌日6日に西日本豪雨が降り、7日に小田川が決壊、真備町が水没します。写真は協定書に署名する伊原木隆太知事と同会の内田輝和会長など

以下 山陽新聞7月5日
岡山県は5日、県内外での大規模災害に備え、県鍼灸(しんきゅう)師会など福祉関係3団体と協力協定を結んだ。県が派遣する被災地支援チームに加わってもらい、それぞれの資格や技能を生かして被災者の健康管理をサポートする。
県庁で、伊原木隆太知事と同会の内田輝和会長、おかやま在宅保健師等の会「ももの会」の皿海二子会長、日本健康運動指導士会県支部の石尾正紀支部長が協定書に署名した。知事は「大規模災害は毎年のように起きており、長引く避難生活での健康管理は大きな課題。協力はありがたい」と述べた。
被災地では、鍼灸師会は、はり・きゅうによる疲労軽減、ももの会は健康相談や栄養管理、健康運動指導士会はエコノミークラス症候群予防の運動指導などを想定している。
県は中国四国9県で災害時の相互支援を申し合わせており、依頼があれば中四国以外にも支援に出向く。同様の協力協定はこれまでに県医師会など19団体と結んでおり、今回で22団体となった。以上 山陽新聞の記事より

写真は倉敷市の備中保健所での災害保健医療活動調整本部の様子。全体ミーティングから1日の活動が始まります。
◆画期的な岡山方式を全国の力で支えよう
県と協定を結び県が派遣する被災地支援チームに加わるというのは、全国 初の試みではないでしょうか。私は勝手に岡山方式とよんでいます。今回の活動が成功し岡山方式が全国に広がることを期待しています。鍼灸師の社会的認知度も高まるでしょう。
25日にいっしょに活動した岡山鍼灸師会福会長の国安先生は「他県の被災地に派遣されると思っていたが、まさか地元に派遣されることになるとは」と言われていました。鍼灸師が他の医療関係者と同じチームの中で活動する岡山方式は画期的です。
そうはいっても毎日の複数の避難所を回る活動はなかなか大変、岡山の先生方は避難所を回った後 自分の治療院の患者をみたりしていらっしゃいます。8月1日にいっしょにまわった内田先生(内田会長の息子さん)は岡山市で床下浸水した自宅を片付けながら、活動されていました。

総社市山手公民館の臨時治療所。写真は内田先生 写真をとることを告げると患者さんがピース、つられて内田先生もピース。
被災者を助け、地元の鍼灸師の仲間を支えるために上記 申し込みフォームからどんどん申し込みましょう。
岡山鍼灸師会はAMDAにも人員を派遣しています。AMDAの活動は以下から。
http://amda.or.jp/
◆興奮がおさまってくると不眠 不安が
私は7月25日水曜と8月1日水曜に入りました。
1日は午前中は鍼灸師3名で総社市中央公民館へ、午後は2名で総社市山手公民館に行きました。
最後にみた40代の男性の患者さんが被災者の今を象徴していました。
男性は自宅解体を中断して治療を受けにいらっしゃいました。
自宅は2階の手前 数10cmまで泥水につかりました。築10年ほどのまだ新しい家です。1階の内装と床をはがす作業を20日以上 ほとんど1人で続けていらっしゃいます。まだ終わりません。なんとか床をはがして床下を乾かしたいのですが、なかなか進まないそうです。職場はお休みされています。
外壁は健在で2階も大丈夫なため、内装と床をはがし、乾かした後 大工さんに内装工事をお願いする予定です。
じつは隣接して親の家もあり、蔵もありこちらの片付けも高齢の親に代わってやっているので大変です。
「水を含んだ断熱材は重いのよ」「床板は6cmあって、丈夫に作ったのがここにきてあだになった」「濡れたベニヤも重い」といろいろ話されながら鍼を受けられます。
少し前までは、避難所でも肉体労働の疲れでぐっすれ眠れていたのですが、最近は何回も目が覚めるようになったとか。
被災当初の興奮が収まってくる中、いろいろ先の不安が出てきたようです。疲労も蓄積されていきます。「ローンが10年延びただけだと自分に言い聞かせているんだけどなあ」ともおっしゃいます。
私は「大丈夫 今夜は眠れますよ」と言って治療を終わりました。
◆持ち物
岡山県鍼灸師会も鍼や消毒用具は準備されていますが、やはり自分が日頃 使っているものを準備されるのがいいでしょう。
筋肉疲労が多いのでちょっと太目の鍼があった方がいいかもしれません。
煙が出る温灸は使えないので、私は無煙灸を持って行きました。夏は冷飲令食のため消化器系に負担をかけ中脘(ちゅうかん)付近が冷えている患者さんが多いものです。ましてや避難所の食事はさめた弁当がほとんど、中脘(ちゅうかん)付近を治療中に暖めるために使い捨てカイロを使いました。
今のところ朝から夕方までの行動です、昼食をどうするか。総社市の避難所周辺は飲食店も開いていますが、水没した真備町の避難所周辺にはありません。私は非常食としてゼリー飲料を準備しましたが、結局 総社市の飲食店で2日とも食べました。