2024年10月27日

秋になった。不眠になった。

今日27日は衆議院選挙の投票日です。30年不景気が続き、賃金の上がらない日本をどうするか、大切な選挙です。みなさん選挙にいきましょう。

10月中旬になって、寝つきがわるくなった、夜中に目が覚めるようになったという患者さんがちらほら来院されるようになりました。私が秋を実感するときです。「やっと涼しくなって、ぐっすり眠れるかと思ったが、目が覚めるようになった。」とおっしゃいます。例年よりちょっと遅い秋です。

中国伝統医学では秋は収める時期です。作物が収穫の時を迎えるように、人の身体も冬に向かって収斂(しゅうれん)していきます。身体が気を大切に保ちながら静まっていきます。人の身体は陰と陽でバランスを保っていますが、収斂させていく時期には陰の要素がより必要とされてきます。鍼灸治療では、秋は陰を補う作用のあるつぼを使い、患者さんの身体が健やかに冬を迎えることができるように手助けしています。患者さんの訴える症状と直接の関係は薄くても、秋には隠し味のように陰を補う作用のあるつぼを使い、患者さんの身体の陰陽のバランスをとっていきます。

◆陰の要素が足りないとどうなる?

日頃から陰の要素、あるいは陰の要素に似た働きをする血の少ない方、血虚(けっきょ)の方(西洋医学の貧血のことではありません)に症状が出ます。陰がたくさん求められている秋だからこそ、陰の足りないためにおこる症状が出てくるのです。
陰の要素の足りないためにおこる症状の代表的なものが不眠です。明け方、身体が熱くなり寝汗をかいて目が覚めることもあります。

ほかにはめまい、目や口やのどの乾燥、便秘、午後から夜にかけての熱がでてくるなどです。腰がだるくなる場合もあります。
人によっては妙に臆病になったり、逆にイライラしてちょっとしたことでひどくおこるようになったりする場合もあります。じつは精神疾患の発症する季節的な第一のピークは春ですが、第二のピークは秋です。 陰の要素に似た働きをする血の少ない方の場合は、手足がしびれる場合もあります。

◆眠らない生活を続けていると眠りにくくなる

眠りは陰の要素を養うもの。眠れないといよいよ陰が足りなくなり、陰の要素の足りない状態=陰虚(いんきょ)が悪化していきます。季節が変わり楽になればいいのですが、悪循環から悪化する場合もあります。

眠りは陰の要素を養うものですから、日頃から陰虚(いんきょ)の方でなくても睡眠時間を削った生活を続けていれば、陰虚(いんきょ)となり不眠をはじめとする諸症状に苦しむ場合もあります。眠らない生活を続けていると眠りにくくなるのです。十分な睡眠時間を確保されるよう気をつけてください。

◆陰を補う作用のある食べ物

陰を補う作用のある食べ物をいくつか紹介しておきます。

黒ゴマ、黒大豆、きくらげ、いか、牡蠣(かき)、貝柱、豚肉、かも肉などです。おいしく食べて、ぐっすり眠りましょう。
31082776_m.png
posted by ゆい at 14:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年10月14日

鍼の感覚、鍼の太さ

患者さんによって鍼への感受性は違います。私は患者さんに合った鍼をするように心がけています。細い鍼しか使わない治療家もいれば、太いガン!とくるような鍼しか使わない治療家もいます。刺さないで触れるだけの鍼、接触鍼というのですが、接触鍼のみの治療家もいらっしゃいます。
私は接触鍼から太い鍼まで使い分けます。患者さんに合わせて決めています。最初は中程度の太さの鍼を使い、様子を見ながら細くしたり太くしたりしていきます。35年前に開業した当初は中国流の太い鍼と中程度の太さの鍼を使っていたのですが、研究会活動や学会の中でいろんな治療家のやり方を勉強させていただき今のやり方にいきつきました。

じつは同じ患者さんでも最適の太さが変わってくる場合もあります。治療していく中で、気の巡りが良くなっていきます。鍼の感覚をより強く感じるようになる場合があります。そういう時は鍼を細くします。
大切なのは対話です。「こんなふうによくなった。」というのはもちろん聞かせていただきたいのですが「こんなふうに変化した。ちょっと不快だ。」というのも聞かせてください。対話しながら治療をより最適なものに変えていくのが私のやり方です。
鍼は症状と患者さんの個性によって、その場で効くものもありますし、翌日に効くものもあります。翌々日という場合もまれにあります。
Img0083.JPG
posted by ゆい at 12:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2024年10月06日

腎透析中の40代男性の耳管開放症が治りました

耳管開放症で40代の男性が来院されました。自分の声がひびき呼吸音も聞こえます。鼻すすりもやってしまうそうです。じつは症状は小学生の頃からありました。どこへ行ってもよくならないのであきらめていたのですが、立ちくらみもするようになり、鍼灸でなんとかならないかと来院されました。
男性は腎透析中でした。腎透析とは、腎臓の機能が低下して老廃物や余分な水分を体外に排泄することが困難になった場合に、人工的に血液を浄化して体に戻す治療法です。今回の患者さんは血液透析をされていました。血液透析は、人工腎臓のフィルターを介して血液を浄化する治療法です。1回の治療時間は約4〜5時間で、週3回通院が必要です。通院しながらもしっかり働いていらっしゃいます。
腎臓は中学生の頃に悪くされ、親から腎移植を受けました。6年前まで移植腎が機能していたのですが、腎不全となり透析に移行されました。腎臓が悪くなると心臓にも影響します。心臓にも問題を抱えていらっしゃいました。

例え小学校からの耳管開放症でも健康で若い人の場合は短期間に治したこともありますが、今回は「やってみないとわからない」と率直にお伝えしました。
3か月13回の施術をしたところ声のひびきもなくなり、呼吸音も聞こえなくなりました。立ちくらみは早期からなくなっていました。その後 2週間に一度の施術を3回、6週間続け再発のないことを確認して卒業していただきました。

男性からは「総合的にいって治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は2である」というアンケート結果と以下のコメントをいただきました。

最初、治療を受けた時「こんなんでほんまに治るかな?」と思いましたがいざ続けてみると、しらずしらずのうちに治っていき本当に感謝しています。ありがとうございました。
コメント以上 自筆のコメントは以下から

788touseki.jpeg