2022年06月19日

うつ病は脳内の神経伝達物質セロトニンの不足によっておこるという仮説は間違い?

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例えば大塚製薬がつくっている「うつ病」のサイトでは次のように解説されています。

◆うつ病が起きるメカニズムは不明
うつ病が起きるメカニズムについてはまだ明らかになっていませんが、いくつかの仮説が提唱されています。ここでは代表的なものを紹介します。
1960年代、抗うつ効果が認められた薬の働きを研究したところ、抗うつ薬を与えられた動物ではノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質(モノアミン)が各神経細胞の末端にあるシナプス(神経細胞の接合部)で増加していることがわかりました。そのため、うつ病ではこれらの神経伝達物質が欠乏しているのではないかと考えられました。これはモノアミン仮説と呼ばれています。現在使用されている抗うつ薬の多くはこの仮説を元に開発され効果を上げてきました。しかし、うつ病が起きるメカニズムはそれほど単純ではないということがわかっており、たとえば、モノアミンの増加は抗うつ薬投与後すぐにみられますが、抗うつ効果が現れるには数週間かかってしまうことや、モノアミンを減少させる薬(高血圧の治療薬)を飲んでもすべての人がうつ病になるわけではないことなど、この仮説では十分に説明することができないからです。以上 大塚製薬のサイトより
https://www.smilenavigator.jp/utsu/about/science/

◆抗うつ薬については 以下のように解説されています。
うつ病治療の基本となるのが抗うつ薬です。脳の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)の減少をうつ病の原因と考えるモノアミン仮説に基づいて開発されました。ただ、この仮説だけでは説明のつかないこともあり、うつ病のメカニズムはまだ明らかになっていませんが、抗うつ薬には一定の効果が認められています。以上 大塚製薬のサイトより
https://www.smilenavigator.jp/utsu/medicine/
製薬会社がつくったHPですら以上のように書かなければならなくなったのです。

◆「抗うつ薬の一定の効果」とは
抗うつ薬だけをつかった治療で症状が改善する方は約50%、寛解(症状がなくなること)する方は全体の約30%*1というデータがあり、主治医の指示どおりに治療を続けていてもなかなかよくならないと感じている方は少なくありません。以上 大塚製薬のサイトより

◆うつ病の客観的検査に使える光トポグラフィ(NIRS)じつは私も研究しました

大塚製薬のサイトで光トポグラフィ(NIRS)が紹介されていました。
2009年4月から客観的検査として光トポグラフィ(NIRS)と呼ばれる検査がうつ症状の鑑別診断補助に用いられています。これは頭皮に近赤外光を当てて反射して戻ってきた光を検出し分析することで、脳表面の血流を測定し、活動中の脳活動のパターンがうつ病、双極性障害、統合失調症のどのパターンと類似するかを調べる検査です。現段階ではまだ診断の補助に過ぎませんが、今後の発展が期待されます。以上 大塚製薬のサイトより

私も光トポグラフィ(NIRS)を使って日本大学医学部(2022年現在は東京大学大学院)の酒谷 薫教授と共同研究をしました。「不安レベルへの鍼の効果と前頭前野皮質のNIRS活動計測」というもので2016年にアメリカ国立医学図書館の医学データベース「パブメド(Pubmed)」に収録されています。
https://www.yuisuita.com/study/

慈恵医大の近藤一博教授が原作を担当した「うつ病は心の弱さが原因ではない」は読みやすいマンガ本です。ご興味あれば お読みください。
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posted by ゆい at 10:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記