2022年06月26日

コロナ後遺症の50代女性 味覚障害聴覚障害の治り方、3週間後に突発性難聴も

50代の女性がコロナの濃厚接触者になりました。検査したところコロナ陽性が判明しました。発熱はなかったのですが、検査の3日前、腰とふくらはぎが半日だけ痛みました。
検査の3日後から味覚障害と嗅覚障害がでてきました。3週間後に左耳がおかしくなり、耳鼻科で突発性難聴と診断されました。結(ゆい)には約7週間後に来院されました。
音が2重に聞こえるのがつらいという訴えでした。味覚障害は残り「うまみ」がわかりません。匂いも健康な時を10とすれば2程度でした。

3回 治療したところ とうふの味がわかるようになりました。嗅覚も改善しました。自宅の独特の匂いがわかるようになりました。音が2重に聞こえるのもなくなりました。
途中で音が再度 2重に聞こえることもあったのですが、すぐによくなり、結局 一か月に7回治療し、音もはっきり鮮明に聞こえるようになり治療を終わりました。

治療後のアンケートでは
「非常に良い効果があった、ほとんど完全に治り苦痛がない」を選択いただきました。治療前の苦痛を10とすれば今の苦痛は0であるとされました。
◆コメント
鍼灸は初めてだったので、当初は不安でしたが予想以上に早く効果が出たことをうれしく感じています。また調子が悪くなった時はお世話になりたいと思います。

厚労省が4月に出した「新型コロナ感染症の診療の手引き、罹患後症状のマネジメント」には耳疾患が取り上げられていませんが、結(ゆい)にはコロナが治ったと思ったら耳がおかしくなったという患者さんが多数みえられています。

世の中はすっかりコロナ感染症がなくなったような雰囲気ですが、院長 藤井は外食も一切やらず、家族と患者さん以外には会わない厳密な感染予防の生活を続けています。6月22日のPCR検査も陰性でした。外で近い距離に人がいないところではマスクは外しています。
感染予防をどれくらいやるかは、個々人の事情によります。私は厳密にやりますが、患者さんには求めません。
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2022年06月19日

うつ病は脳内の神経伝達物質セロトニンの不足によっておこるという仮説は間違い?

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例えば大塚製薬がつくっている「うつ病」のサイトでは次のように解説されています。

◆うつ病が起きるメカニズムは不明
うつ病が起きるメカニズムについてはまだ明らかになっていませんが、いくつかの仮説が提唱されています。ここでは代表的なものを紹介します。
1960年代、抗うつ効果が認められた薬の働きを研究したところ、抗うつ薬を与えられた動物ではノルアドレナリンやセロトニンなどの神経伝達物質(モノアミン)が各神経細胞の末端にあるシナプス(神経細胞の接合部)で増加していることがわかりました。そのため、うつ病ではこれらの神経伝達物質が欠乏しているのではないかと考えられました。これはモノアミン仮説と呼ばれています。現在使用されている抗うつ薬の多くはこの仮説を元に開発され効果を上げてきました。しかし、うつ病が起きるメカニズムはそれほど単純ではないということがわかっており、たとえば、モノアミンの増加は抗うつ薬投与後すぐにみられますが、抗うつ効果が現れるには数週間かかってしまうことや、モノアミンを減少させる薬(高血圧の治療薬)を飲んでもすべての人がうつ病になるわけではないことなど、この仮説では十分に説明することができないからです。以上 大塚製薬のサイトより
https://www.smilenavigator.jp/utsu/about/science/

◆抗うつ薬については 以下のように解説されています。
うつ病治療の基本となるのが抗うつ薬です。脳の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)の減少をうつ病の原因と考えるモノアミン仮説に基づいて開発されました。ただ、この仮説だけでは説明のつかないこともあり、うつ病のメカニズムはまだ明らかになっていませんが、抗うつ薬には一定の効果が認められています。以上 大塚製薬のサイトより
https://www.smilenavigator.jp/utsu/medicine/
製薬会社がつくったHPですら以上のように書かなければならなくなったのです。

◆「抗うつ薬の一定の効果」とは
抗うつ薬だけをつかった治療で症状が改善する方は約50%、寛解(症状がなくなること)する方は全体の約30%*1というデータがあり、主治医の指示どおりに治療を続けていてもなかなかよくならないと感じている方は少なくありません。以上 大塚製薬のサイトより

◆うつ病の客観的検査に使える光トポグラフィ(NIRS)じつは私も研究しました

大塚製薬のサイトで光トポグラフィ(NIRS)が紹介されていました。
2009年4月から客観的検査として光トポグラフィ(NIRS)と呼ばれる検査がうつ症状の鑑別診断補助に用いられています。これは頭皮に近赤外光を当てて反射して戻ってきた光を検出し分析することで、脳表面の血流を測定し、活動中の脳活動のパターンがうつ病、双極性障害、統合失調症のどのパターンと類似するかを調べる検査です。現段階ではまだ診断の補助に過ぎませんが、今後の発展が期待されます。以上 大塚製薬のサイトより

私も光トポグラフィ(NIRS)を使って日本大学医学部(2022年現在は東京大学大学院)の酒谷 薫教授と共同研究をしました。「不安レベルへの鍼の効果と前頭前野皮質のNIRS活動計測」というもので2016年にアメリカ国立医学図書館の医学データベース「パブメド(Pubmed)」に収録されています。
https://www.yuisuita.com/study/

慈恵医大の近藤一博教授が原作を担当した「うつ病は心の弱さが原因ではない」は読みやすいマンガ本です。ご興味あれば お読みください。
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2022年06月17日

約9か月治療を続け うつ病がよくなった話

40代初めの男性が来院されました。10年近くうつ病で精神科に通院されている方です。仕事をやめてからも6年ほどたっています。
うつ病というとひたすら気分がおちこみ、何をする気もおきないといった状態をイメージしがちですが、個人差は大きく イライラしたり少しのことで怒ったり、すぐに気分がおちこみしんどくなったりという状態になる方もいらっしゃいます。この男性もイライラしたり、すぐにしんどくなったりというのが繰り返しやってくるという状態でした。全身にしびれ感を感じたり、息がしづらくなることもあります。

3カ月ほどは週2回 その後は週一回で治療を続けました。お連れ合いが働き、本人は家事を一部 分担しているという生活ですが、どれくらい家事をこなせるかが改善していく目安となりました。約9か月治療を続け、なんとかやっていけそうだということで 治療を終わりました。

「非常によい効果があった。ほとんど完全に治り苦痛がない」を選択していただき、治療前の苦痛を10とすれば、今は1であると回答してもらいました。

以下のコメントをいただきました。

初めに伺った時は人生のどん底で死にたい気持ちがすごくありましたが先生とスタッフの方のおかげで人生が楽しく感じられるようになりました。助けていただきありがとうございます。まだ100%ではないので助けていただくこともあるかと思いますのでこれからもよろしくお願いいたします。
イライラは少しありますが気持ちの落ち込みはなくなりいろんなことを楽しめるようになりました。ありがとうございます。以上 コメント

うつ病は脳内の神経伝達物質セロトニンの不足によっておこるという仮説が常識のように語られてきて、その仮説が SSRIなどの抗うつ剤が効く理由とされてきました。近年 その仮説に疑問符がつくようになってきています。その辺の話は次回で紹介します。日曜19日に掲載します。
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2022年06月15日

コロナワクチン接種日はお風呂につからないでください

メディカルトリビューン6月15日号に「コロナワクチンの副反応は予防できる?!」という記事が掲載されていました。ワクチンの副反応を予防するためには、接種後 数日間、とくに当日の入浴は避けた方がいいという内容です。シャワーだけならかまいません。ただ今までのワクチン接種で副反応の強かった方はシャワーも避けた方がいいかもしれません。
私はワクチン接種に反対している訳ではありません。これまでも3回受けましたし、必要なら今後も受けるつもりです。
以下は原文の一部 要約です。

東邦大学医療センター大橋病院循環器内科の粟屋徹氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン接種後に見られる副反応の原因と予防策について、国内外の報告に基づき検討した結果をVaccines(2022 ;10 :866)に発表した。副反応を引き起こす有力なメカニズムの1つがインターロイキン(IL)-6などの炎症性サイトカインの増加であり、激しい運動や飲酒、喫煙、日本では一般的な習慣であるお湯に浸かる浴槽入浴は炎症性サイトカイン放出を促進して副反応を悪化させる可能性があり、ワクチン接種後の数日間はこれらを避けるよう推奨している。特に入浴に関しては接種翌日に死亡例が多く、注意を促している。

入浴は外国では一般的ではなく、同氏らは「日本固有の問題として、ワクチン接種後の数日間は入浴ではなくシャワー浴にすべきである」と提案している。以上 原文の要約。
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2022年06月12日

約一か月半で治った耳詰まり鼻づまりと気分の落ち込み コロナ後遺症の鍼灸治療

厚生労働省は新型コロナ感染症の診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント第一版という文を2022年4月末に出しています。
※新型コロナ感染症の診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント第一版は以下から
https://www.mhlw.go.jp/content/000935241.pdf

じつは「罹患後症状のマネジメント」に耳疾患は取り上げられていません。大いに疑問です。私は5月の関西中医鍼灸研究会のオンライン講義で「コロナ後遺症の鍼灸治療」について講義しました。9例の後遺症の治療例を紹介しましたが6例に耳疾患がありました。
今回は患者さん本人も気づいていなかったコロナ後遺症の耳の疾患の治療のお話です。

☆約一か月半で治った耳詰まり鼻づまりと気分の落ち込み コロナ後遺症の鍼灸治療

30代の日本人男性が3月に来院されました。2022年1月初めに左耳がふさがり、つまる感じがしてきました。聴力の低下はないのですが、気分が落ち込み何をする気にもなれないそうです。
2021年12月末にコロナに感染しています。アメリカでコロナにかかりました。カリフォルニア州在住の方です。鼻水やのどの痛みが続き、ようやく楽になってきたと思ったら1月に耳がおかしくなりました。体調不良のため日本に一時帰国されました。耳だけでなく鼻詰まりも続いています。本人にコロナ後遺症の自覚はなかったのですが、経過から見るとコロナ後遺症といえます。

2週間に7回治療すると ほぼ耳も鼻も気にならなくなり、気分の落ち込みもなくなりました。
じつは雨が降って寒くなったときに、ちょっとだけ症状がぶり返すこともあったのですが、本人の強い意向もあり、一か月半後にアメリカに向けて出国されました。雨が降っても気分の落ち込みの再発はありませんでした。
カリフォルニアは1年を通じて温暖で湿度も低く、暮らしやすいところと聞いています。「ロンドンに行くというならもう少し治療してから出国した方がいいと言うけれど、カリフォルニアは気候がいいから大丈夫でしょう。」と送り出しました。

なぜ雨の日は耳の調子が悪くなるのでしょう。中医学では湿邪により気が滞るためといわれています。実際 鍼灸治療で湿邪をとり気の巡りをよくすると雨の日でも大丈夫になっていきます。耳の症状としては、詰まった感じに加えて、めまいやふらつきが起こる人もいますがこれも治ります。
気象病と呼ばれることもあります。気象病は、太古の昔に危険を回避するためにできた予知機能だという仮説があります。狩りの最中に嵐が来たら、生命の危機です。そこで天候の悪化をいち早く察知する気圧センサーが作られたというのです。
 その「逃避行動仮説」によると、人間は皮膚で気圧の変化を感じ取ると、すぐ走って逃げられるように交感神経が緊張する。それにより耳周辺の筋肉が収縮し、耳が詰まったような感じがするのでは、といわれています。
じつは耳詰まりを訴える患者さんの多くはリラックスするのが下手な人が多いので、「逃避行動仮説」は納得できます。

◆結(ゆい)のスタッフ全員 3回目のコロナワクチン接種が終わっています。院長の藤井は2週間に一度 PCR検査をしています。直近では6月8日陰性でした。季節的に換気がやりやすくなり助かっています。

コロナ後遺症の鍼灸治療例は以下に一部 掲載しています。
https://www.yuisuita.com/acupuncture/cat_depression/entry_1386/

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