春になるといろいろ出かけたくなるのは人情ですが、厳密な感染予防の生活を続けながら自宅と鍼灸院を往復する日々を続けています。9日のPCR検査は陰性でした。今度は23日に検査を受けます。
今回は水恐怖と突発性難聴の後に残った耳鳴りがいっしょに治った50代の女性のお話です。
水恐怖症(ハイドロフォビア)とネット検索してみると、幼いころのトラウマとかいろいろ出てきます。心理療法や抗不安剤による治療が一般的なようです。難治性であるような印象を抱きがちですが、この前 治療した患者さんは2回で治りました。
今年の1月に患者さんは「耳鳴りを治したいと」来院されました。12月に突然 右耳に穴が開いたような感覚に襲われました。鼻も右の首、ノドの右側もつまるようになりました。この時 水を触ると気持ち悪いという感覚が突然 出てくるようになりました。耳の違和感も水に触るとひどくなるそうです。お風呂に入れなくなり、短時間のシャワーを我慢しながら浴びるようになりました。
耳鼻科に行くと高音域 4000〜8000Hzの聴力が70㏈に低下していることがわかり突発性難聴と診断を受けました。約一か月後 聴力は回復したのですが、耳鳴りは治まらなかったため結(ゆい)に来院されました。仕事は12月からお休みされています。
2回治療すると、耳鳴りは少し軽くなりました。何より水恐怖がなくなり、ゆっくりお風呂につかれるようになったとのこと。約一か月に6回治療したところ、昼間の耳鳴りは気にならなくなり、仕事も再開されました。ここでアンケートをいただきました。
◆患者さんのコメント
「非常によい結果があった。ほとんど完全に治り苦痛はない」「治療前の苦痛を10とすれば1である」というアンケート回答をいただきました。コメントは以下の通りです。
治療するごとに、少しずつ耳の変化ありました。治療前はお風呂(水の中)に入れなかったのですが治療2回目ぐらい以降より湯舟につかれるようになりました。一生シャワーの生活かもと思っていたので、お湯につかれるようになったのは大変ありがたいです。
耳鳴りも仕事中は気にならなくなりました。寝るのもぐっすりと寝れるようになっています。ハリは思っていたより痛くなかったです。コメント以上
自筆のアンケートは以下からどうぞ

◆考察
じつは水恐怖症の治療はTFT思考場療法の本の中で、紹介されていました。
TFTは、鍼のツボをタッピングすることであらゆる心理的問題を改善させていく米国発の新しい心理療法と日本TFT協会のHP上で紹介されています。私はTFTのやり方を本家の中医学の立場から再構築し、タッピングよりももっと強力な鍼を使っていろいろな恐怖症を治療しています。広場恐怖はよく治してきました。パニック障害にも効きます。
水が怖くなって一か月ほどでしたから、簡単に治るのではと思っていたら、簡単に治りました。患者さんには「脳の回路のバグをとれば治るのです」と説明しています。中医学的には経絡(けいらく)、気の流れを通します。鼻のつまりもノドのつまりも肝欝気滞(かんうつきたい)を改善すれば治ります。