藤田医師は日本中医学学会でともに評議員をつとめる仲間です。2019年の学会では電子カルテについて、いろいろと話し合いました。中国で湯液向けに運用されていた電子カルテは水準の高いものでした、シェアしたのは鐘南山院士のインタビュー記事です。鐘南山院士は武漢封鎖を断行し、新型コロナ感染症制圧を指揮した英雄です。共産党員ですがSARSの時に共産党の情報隠蔽を鋭く批判し、国民の信頼を得ています。
藤井が要約の要約をしておきます。
1/31 広州日報で紹介された中国工程院の鐘南山院士のインタビュー記事です。簡単に要約しておきます。
1.防疫対策を少しでも怠ると、感染者数がすぐに増加
20年6月の北京新発地では、27日間で収束し、約300人が感染したが、冬に入って各地の感染状況が一時深刻になった。蘭州大学が開発した数理モデルで計算すると、政府の強力な介入がなければ、2月末の黒竜江で13万人、河北で12万人が感染すると言う計算になっている。強力な介入後、吉林・河北・黒竜江では、2月上旬にはコントロール出来る見込みだが、海外の状況をみて分かるように、一旦防疫体制を緩めると直ぐ感染爆発リスクが出てくる。
2.ワクチン接種後もマスクは必要、安全性の高いワクチン
中国ではシノバックとシノファームの不活化ワクチンが開発されているが、軽症に関しては75%の有効率、重症に関してはほぼ100%の有効率、接種後半年は有効だが、それ以上に関してはまだ不明。3〜5年後に理想的なワクチンが登場するだろう。
現在、中国は全世界でのべ2,200万人に接種し、最初の接種から7〜8ヶ月が経過しているが、9割程度で抗体を保持している。なので半年間は問題ないだろう。現在のワクチンは、あくまでも緊急用であり、3〜5年以内にもっと理想的なワクチンが登場するはず。
3.変異したウイルスに対してのワクチン
現在の新型コロナウイルスワクチンのうち、欧州型や南アフリカ型での一部での変種型に注意が必要。ワクチンの効果が落ちる可能性あり。なので、抗体が十分でなければ、追加接種の可能性も考える必要がある。現在、これらの研究を行っている広東省CDCの首席専門家の何剣峰氏のよると、現段階での不活性化ワクチンの効果は比較的良好とのこと。(とはいえ、まだまだ研究中のようですね。)
4.無症状感染者からの感染
略
5.退院後の後遺症と心理治療、再陽性の問題
退院後半年以降でも後遺症が見られるが、疲労感と神経系統の症状が中心。まずは心肺機能のリハビリが重要。そして心理治療もポイント。現在、回復者の状況をみていると、SARS回復者よりも健康状態が思わしくないことが多い印象。心理上の回復問題は重視されるべき。
6.農村での防疫ポイント
現在、村民のPCR検査を行うのに、大型バスを派遣して集団で検査場所にいっているが、これでは時間の無駄であるし、感染を拡大させるリスクが非常に高い。今後は移動式のPCR検体採取車の整備が必要。
7.広州で開発された移動式PCR検査車
大型バスを改造し、10人分プール方式のPCR検査で、1日2万人を検査できる車両で、もし陽性反応が出たら一人一人再検査し直す方式。また、自動で検体採取し、自動で測定し、30分以内に結果が出せる移動検査車も完成しているとのことで、今後の活躍が期待されている。
8.全世界では3月頃から改善に向かうのでは
新型コロナの死亡率は1%程度であっても、感染者の数が多ければ、死亡者も増えてる。この1年間で、全世界で200万人以上が亡くなった。各国でワクチン接種が始まっており、その効果が高くても低くても、ワクチンは有効であるには変わらない。ワクチン接種後、抗体が作られるまで時間が必要であり、ワクチン接種する人が増えれば増えるほど状況の改善は期待できるはず。その結果、3月頃から改善に向かうのではと考えている。(予想が当たりますように。)
9.3月に米国のファウチ所長との会見
米国の状況改善が世界に与える影響は大きいし、中米関係改善にも良い影響を与えるだろうし、中米学者の交流にも良い影響を与えるだろう。ファウチ所長とは、考え方で似ているところも多く、会見を楽しみにしている。また来週もハーバード大学医学院との意見交換が行われる。