2020年07月31日

感染地域での大量で集中した検査「いつでも、どこでも、何度でも」 世田谷モデル

東京都世田谷区の保坂区長が区独自のPCR検査を現在の1日200〜300から2000〜3000件に拡充する、また人とよく接する職業の人々、医療従事者、保育士、介護従事者、美容師等には定期検査をという方針を発表しました。鍼灸師も入りますから、私が世田谷区で開業していれば2週間に一度程度、PCR検査や抗体検査を受けることになります。世田谷モデルと呼ばれています。
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☆感染地域での大量で集中した検査「いつでも、どこでも、何度でも」 世田谷モデル

無症状感染者が感染を広げていることがわかってきました。感染が集中している地域で大規模に検査し、隔離、治療していくのは新型コロナの特性にも、感染症対策の基本にも沿った適正なやり方です。この間 ブログで書いていた東大児玉龍彦教授の提言にそったやり方です。

◆感染していない人同士の接触をさける政策ではなく感染した人と感染していない人の接触をさける政策を5/28ブログ
http://yuisuita.sblo.jp/article/187537572.html
◆新型コロナウイルス感染症対策 全国一律自粛ではなく もっとスマートなやり方があるでしょう。21世紀型の対応を。遺伝子工学と計測化学、情報科学の活用を。7/23ブログ
http://yuisuita.sblo.jp/article/187725772.html

児玉教授は7月16日に国会で提言しましたが、無視されています。世田谷区の保坂区長はかねてから児玉教授に相談していて、今回 世田谷モデルとして実を結びました。東京都医師会も30日に会見し、新宿の歌舞伎町や池袋の繁華街をはじめとした感染が集中している地域向けの施策として、「その地域で集中的にPCR検査を実施し、無症状者も含めた感染者の洗い出しと対策を徹底する」と保坂区長と同様の提言をしています。
保坂区長はツイッターで以下のように述べています。
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〇世界各国で「コロナとのたたかい」が続いています。今、私たちは世界各国での対策がうまく効果をあげた事例と、苦戦を続けている事例、また拡大に歯止めがかからない事例を知っています。当然、「うまく効果をあげた」事例に学ぶべきだと考えています。
〇そして、「PCR検査」を極力制限する、または抑制するという方針で成果をあげた国や地域があるでしょうか。5月以降は、多くの「専門家」も政府も「PCR検査」を増やすと言っています。が、国際比較では、きわめて少ない水準で一向に増えていきません。なぜでしょうか。
〇社会の継続のために必要で、人との接触を避けられない仕事については、「社会的検査」が必要だと考えたのは、ニューヨークの検査体制「いつでも、どこでも、何度でも」を聞いてのことです。検査を充実することで、症状のない陽性者も把握して、感染拡大を防止する、この手法が経済再生にも貢献する。以上 保坂区長のツイッターより
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今日31日の朝日新聞東京版には世田谷区医師会が1日当たり1000件のPCR検査ができる検査機の導入を検討しているという記事が載っていました。世田谷区はすでに5月からPCR検査拠点の「地域外来・検査センター」を医師会と協力して作っています。保健所とは別の検査の流れが整備されています。大阪府はやっと7月に「地域外来・検査センター」をつくる方針を表明したところです。世田谷モデルを応援します。

2020年07月26日

接触確認アプリをスマホに入れましょう

厚生労働省から新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)が出されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/cocoa_00138.html

私もスマホに入れました。15分以上 1m以内に接触した人の中に感染者がいた場合、後で通知されるシステムです。率直に言って、非常に不十分なアプリです。でも入れないよりは、入れた方がいい。バージョンアップしていけばいいと考えています。
現在は感染者と接触したことだけが通知されるアプリです。利用者に得がなければたくさんの人に広がりませんが、現状は何の得もありません。政府の広報も不十分です。
例えば濃厚接触者と分かった際には、症状がなくても優先的にPCR検査等を受けられるといったメリットは最低限必要です。無症状感染者の一部が感染を拡大していることがわかっているのですから感染拡大防止のためにはすべての濃厚接触者、通知を受けた人の検査が求められます。ただそのためには検査体制の大規模な拡充が必要です。アプリを魅力あるものにして感染者、濃厚接触者をあぶりだすことと検査の充実はセットの話です。
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中国は健康コードというアプリを使っています。感染していない、感染の可能性が非常に低い人はスマホに緑色が表示され自由に動き回ることができます。感染していない人同士の接触を防いでも意味はありません。感染している人と感染していない人の接触を防ぎ、濃厚接触者をきちんと検査していくことが大切です。感染防止と経済を両立させるやり方です。
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以前 紹介した東大の児玉教授も接触確認アプリ(COCOA)の利用を推奨しています。
COCOA登録を国会決議で進める。6割登録で緊急事態宣言に匹敵する効果がある。感染された方の移動の追跡が重要になる。と提言されています。現在、感染経路不明者が感染者の半分以上になってきています。感染者をしっかり追跡し、感染した場所を特定し、感染を制圧することが本当に重要です。COCOAと各自治体が始めているQRコード登録を組み合わせていけば 成果が上がるでしょう。

7月25日の日経新聞朝刊に「独英、第2波対策と経済両立 小規模封鎖 機動的に 検査態勢の充実前提」という記事が掲載されました。以下のような内容です。

日本政府が新型コロナウイルスの第2波の封じ込めに有効な手立てを見いだせないなか、ドイツと英国が相次ぎ新たな戦略を打ち出した。経済に深刻な影響を与える国全体が対象のロックダウン(都市封鎖)を避け、小規模な地域封鎖を機動的に実施することが柱だ。
独英の新戦略は検査態勢の充実で感染の広がりをより正確に把握できるようになったことで実現した。日本でも検査能力を早急に高め、第2波への具体的な施策を打ち立てる必要がある。中略
感染症対策の司令塔である独ロベルト・コッホ研究所によると、同国の検査件数は1週間で53万件、検査能力は同118万件に及ぶ。高い検査能力で感染状況を把握できるからこそ、きめ細かな制限を導入し、解除も素早く判断できるというのが独政府の考えだ。
中略
(英国は)検査態勢も大幅に拡充する。現在、抗原検査など「今ウイルスに感染しているか」を調べる検査で1日20万件以上の検査能力がある。これを10月末までに1日50万件まで増やす。以上 日経新聞

日本でも接触確認アプリを魅力あるものにすることや検査体制の拡充が求められています。国民に自粛を求めるだけでなく、「夜の街」に責任を押し付けるだけでなく、実効性のある感染対策をすすめていただきたいものです。台湾、韓国、中国は感染者を低く抑え込んでいます。ドイツもイギリスも続こうとしています。さて日本は? 政府はいつまで無作為を続けるのでしょうか。





2020年07月23日

新型コロナウイルス感染症対策 全国一律自粛ではなく もっとスマートなやり方があるでしょう。21世紀型の対応を。遺伝子工学と計測化学、情報科学の活用を。

新型コロナ感染症の感染が広がっています。東大先端科学技術研究センターの児玉龍彦名誉教授が国会に参考人として呼ばれました。国会に児玉教授が呼ばれたことは ひとつの希望です。最大野党 立憲民主党のHPでも報告されています。与党も野党も真剣に考えていただきたいものです。全国一律自粛ではなく感染防止と経済を両立させるやり方があるのですから。
https://cdp-japan.jp/news/20200716_3241

参院予算委員会で7月16日午後 閉会中審査で「新型コロナウイルス感染症への対処等」に関する集中審議が行われ、参考人として東京大学先端科学技術研究センターがん・代謝プロジェクトリーダーの児玉龍彦氏、新型インフルエンザ等対策有識者会議・新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏、公益社団法人東京都医師会会長の尾崎治夫氏が出席しました。当日の動画は以下からどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=tFcF8bTmJ4g

◆感染集積地での大規模なPCR検査を

児玉教授は感染集積地を正確につかみ、集積地(エピセンター)での大規模なPCR検査を提唱しています。全国一律自粛では、感染は止まらない、自粛と再開後の拡大を繰り返す悪循環に陥るとの指摘もされています。残念ながら今の日本が陥ろうとしている状況です。
大切なのは感染集積地とそうでないところを分け、感染集積地に医療資源、医療従事者を集中して送り込むこと。無症状感染者を見つけ出し、しっかり隔離して、感染地域をきれいにすることが重要だと指摘されています。現在は新宿が感染集積地になっているから、そこで働く人や区民の50万人のPCR検査をやろうと提言され、予算も含め具体的に示されています。以下の国会提出資料をご覧ください。
https://www.ric.u-tokyo.ac.jp/topics/2020/ig-20200716_all.pdf
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◆大量検査は可能だ

日本でも大規模PCR検査をする力があります。児玉教授自身も東大でPCR検査を実際にやっています。「(東大)先端研だけでもフルにやれば1日数千件は簡単にできる。数万件まで行くかもしれない。東大なら全体で10万件くらい簡単にできる。」(7月3日、日本記者クラブ)と発言されています。
でも現在は手足を縛られた状態です。東大も感染症対策としては法律上できない。臨床研究という名目でやっているとのことです。大学や研究機関を活用すれば検査は飛躍的に伸びるでしょう。京都大iPS細胞研究所の山中伸弥教授も以下のように発言されていました。
「iPS研には新型コロナのPCR検査をできる機器が30台くらいある。その機器を使って普段からPCRをしている研究員たちが何十人かいるが、自粛で多くの人が実験せずに在宅になっている。大学の研究所などの力をうまく利用すればPCRの検査能力は2万をこえて、10万くらいいける可能性がある。研究者として検査能力の向上に貢献したい」以上

◆感染者が多くなると、危険度が高くなり、さらに感染者が増える

街の中で感染している人が多いと空気感染に近いことがおこってしまうという指摘がありました。もっともな指摘です。例えば感染者のほとんどいない鳥取県の映画館で映画を見るのは安全ですが、新宿で映画を見るのは危険かもしれません。感染度によってガイドラインも変化させる必要があります。
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◆大量で精密な検査と隔離、治療は経済と感染防止を両立させる道

7月23日付日経メディカルは
「免疫パスポート」なんてあり得ない、ただし…という表題で児玉教授にインタビューしています。以下 要約です。

抗体検査を活用することで、通常の生活を取り戻そうという動きも広がっている。新型コロナウイルスの抗体検査を定量的かつ大量に測定するプロジェクトを推進する東京大学先端科学技術研究センターの児玉龍彦氏にその構想を聞いた(文中敬称略)。

──先生は、東京大学先端科学研究センターなどのメンバーからなる新型コロナウイルス抗体検査機利用者協議会のアドバイザー会議代表として、新型コロナウイルスの抗体検査の定量的かつ大量に測定するプロジェクトを推進されています。抗体検査をどのように活用することをお考えですか。

児玉 疫学調査のための活用を提案しています。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗体検査を500〜1000人程度のユニット全員に行い、抗体検査陽性者が多いユニットを見つけます。そのユニットでは感染が広がっている可能性がありますので、さらに個々人に対してPCR検査を行い、有症状の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者だけでなく、無症状の感染者も拾い上げる。そうすれば、効率的な感染拡大予防の介入が可能になります。有症状者を隔離するだけではCOVID-19の感染を制御できず、無症状者の拾い上げがとても大切と考えます。

 ユニットとしては、例えば介護施設であれば、利用者や介護に関わる職員だけでなく、掃除や食事、リネンを扱いような人々、その施設に出入りする全ての人を対象とする必要があります。関係者全てを抗体検査でスクリーニングし、全員が陰性ということになれば、そのユニットはひとまず感染リスクはないと判断でき、通常の生活が可能です。

 ご注意いただきたいのは、私が提唱するのはあくまで疫学調査のための抗体検査で、個人を対象に、抗体があれば通常の生活ができると判断する「免疫パスポート」とは意味が違います。

 なぜなら、抗体検査には限界があるからです。実際、我々の調査でも、その限界を確認しています。これまで、発症後1週間で約半数の患者で抗体価(IgG)が上昇し、約2週間で全ての患者で抗体陽性となるともいわれていました。が、それは重症例での話で、軽症者や無症候者では、PCR陽性者の0〜30%程度が抗体陰性となることを我々協議会の調査で明らかにしました。これは、幾つかの医療機関で網羅的に抗体検査を行い明らかにしたものです。施設によるばらつきがありましたので0〜30%との結果でしたが、平均すると2割程度は抗体陰性となる可能性があると考えています。

 東京大学病院に入院中の重症COVID-19患者を対象に抗体検査を行えば100%陽性となるのですが、軽症例や無症候例における抗体価の動きは重症例と大きく異なるのです。

──COVD-19対策は長期戦になり得るということですね。そうなると、4月に行われた緊急事態宣言のように、全国一斉の外出自粛という対応では社会が持ちませんね。

児玉 もっとスマートなやり方があるでしょうと言いたいです。21世紀型の対応として、我々が提唱しているのが、無症状者を把握するためユニットごとに疫学調査目的で抗体検査を実施し、抗体陽性者が多いエリアで感染者を同定するためのPCR検査を行い、その集団に最適な介入を行うというものです。一方、感染者がいない集団では普段通りの生活を可能とします(図3)。
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中略
 抗体検査とPCR検査を組み合わせれば、お互いの弱点を補うことができ、精度も向上します。実際、透析病院で抗体検査とPCR検査を組み合わせた疫学調査を実施したところ、感染者を把握できました。また、透析患者では感染が長引きやすいというデータも得られたため、透析患者に特化した対策も立てやすくなりました。

──「免疫パスポート」構想には論拠がないが、抗体検査は疫学的な調査に有効であり、その結果を介入に生かすことで、科学的な感染対策が効率的に進むということですね。ありがとうございました。以上 日経メディカル要約