2020年02月12日

検査ではかかっていないことを証明できません、新型コロナウイルス肺炎「COVID―19」、2019-nCoVもインフルエンザも

この小文の主張は執筆当時の見解です。新型コロナ感染症への見識が深まる中で見解も変わりました。できるだけ早期に検査を受けることが感染制圧に有効であることがわかりました。よろしければ以下をお読みください。2020年8月14日加筆
PCR検査の拡大を 早期発見、早期保護、早期治療
http://yuisuita.sblo.jp/article/187797560.html


◆ウイルスが少なすぎても、採取場所にウイルスがいなくても陰性になります

検査!検査!と騒がれていますが、新型コロナウイルス肺炎「COVID―19」の検査 核酸増幅法(PCR法など)で必ず「COVID―19」が判明するわけではありません。1月30日にも書きました。
PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法はわずかなウイルスの遺伝物質を数時間かけて増やし、検出する方法です。感染の初期や、ウイルス量が少ない場合は検出できないこともあります。
のどを綿棒などで拭って採る粘液で検査しても、のどにウイルスがいなければ陰性になります。気管支にウイルスがいてもわからないのです。気管支に綿棒はつっこめません。

中国の国家衛生健康委員会の診断と治療指針、ガイドラインでも「COVID―19」の検査は核酸増幅法(PCR法など)を2回 行うことになっています。1回目の検査の後には1日以上開けて、2回目の検査を行うとされています。精度を上げて、「COVID―19」の感染を確認し隔離するためです。
感染を証明することはできますが、かかっていないことを証明するのは、検査ではできません。陰性だから感染していないと考えるのは間違いです。

結局 感染しているかどうかは、症状やCTスキャン等から医師が総合的に判断するしかありません。中国の国家衛生健康委員会の診断と治療指針第5版(2月5日)によると潜伏期間は「1〜14日、ほとんどは3〜7日」とされています。

※新型冠状病毒感染的肺炎诊疗方案(试行第五版)
http://www.nhc.gov.cn/yzygj/s7653p/202002/3b09b894ac9b4204a79db5b8912d4440/files/7260301a393845fc87fcf6dd52965ecb.pdf

◆インフルエンザ検査も 感染していない証明はできません

インフルエンザの検査では簡易キットがあります。おかげで核酸増幅法(PCR法など)と違い10分ほどで結果がわかります。しかし検出にはある程度のウイルスの量が必要で、感染の初期はウイルスが検出できなくて陰性と判定されることがあるといわれています。
アメリカ国立医学図書館の医学データベース「パブメド(Pubmed)」に収録されている論文よると、感染しているときに検査が陽性を示す割合(感度)は62.3%です。
インフルエンザ簡易キットを使っても、インフルエンザ患者の4割ほどを見逃してしまうことになります。
※アメリカ国立医学図書館の医学データベース「パブメド(Pubmed)」
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22371850

インフルエンザの症状があれば、インフルエンザなのです。検査結果はあてになりません。検査で陰性になったけれど、実際は感染している4割の患者が職場に出勤すると感染は拡大します。たとえ普通の風邪だったとしても感染症に違いはありません。風邪でもインフルエンザでも 無理して職場に行けば、仲間にうつしてしまいます。みんなが感染してしまえば、職場の生産性は下がります。

社長さん、管理職のみなさん 「風邪をひいたら気軽に休める職場」にすることが感染拡大を防ぎ、結局は職場の生産性を上げることになります。
ドイツには有給病欠という制度があり、ドイツ人の年平均有給病欠は19日です。ドイツ人の年間労働時間はOECD加盟国中最も短く1356時間、日本は1710時間です。一方 時間当たりの労働生産性はドイツ人は約73ドル、日本人は約47ドルです。日本人はドイツ人の1.3倍長く働いていますが、時給換算ではドイツ人の64%しか稼いでいません。

政治家のみなさん 「病欠しても不利益にならない労働法制」をつくることが、感染拡大を防ぎ、国民の健康を守ることになります。
マスクも大事だけれど 少しくらい休んでも生活できる収入を確保できる社会が感染拡大を防ぎます。

◆発熱のない場合も! 新型コロナウイルス肺炎「COVID―19」初期症状

新型コロナウイルス肺炎「COVID―19」は、今までの情報をみる限り、ほとんどの場合 健康な普通の人は、感染しても肺炎にならないか、なっても軽症です。
新型冠状病毒感染的肺炎诊疗方案(试行第四版)では初期の主な症状は、発熱、疲労、乾いた咳とされていましたが、(试行第五版)では乾いた咳だけで発熱がみられない場合もあるとされました。いよいよ普通の風邪と見分けがつかなくなりした。普通の風邪やインフルエンザでも、高齢者は たいした発熱もなく肺炎になる場合があります。
武漢の医師の手記を読むと 初期は診断を受けるだけで待ち時間が4時間かかり、CTスキャンを受けるためにさらに4時間かかったといいます。感染者といっしょに8時間も濃厚接触すれば、健康な人も感染します。
無理せず早めに休み、自宅で養生してください。これが感染拡大を防ぐ最良の方法です。
健康な人が「念のための」検査に病院に殺到すれば、本当に医療が必要な人が病院に行けなくなります。

※よかったらこちらもお読みください。
【医師が解説】インフルエンザ検査って何をするの? 再検査は必須?
https://media.lifenet-seimei.co.jp/2018/11/13/13969/

風邪をひいたら職場を休もう
https://www.yuisuita.com/acupuncture/cat_cold/entry_1218/

結(ゆい)鍼灸院の呼吸器疾患の治療の紹介
https://www.yuisuita.com/acupuncture/cat_cold/
写真は中国の呼吸器疾病で有名な医師、鍾南山(チョンナンシャン)さん(84)
17年前のSARSでも10年前の新型インフルエンザでも政府や地方政府の情報統制をしっかり批判し、国民の信頼が厚い。今回も専門家チーム 国家衛生健康委員会のトップに立っている。TVの海外ニュースを写真に撮りました。
IMG_2704.jpg