2016年04月10日

結核と闘うお灸、モクサアフリカの挑戦

結(ゆい)鍼灸院、関西中医鍼灸研究会の藤井です。NHKの朝の連ドラ「トト姉ちゃん」で主人公のお父さんが結核で亡くなりました。結核は1950年までは、日本の死亡原因の一位でしたが、現在でも年間2万人以上の新しい患者が発生し、年間で2,000人以上の人が死亡しています。3月にも東大阪市にある人材派遣会社の寮で、建設作業員など 34 人が結核に集団感染し、発症した 50 代の男性 1 人が2月に死亡していたことがニュースになりました。じつは亡くなった私の父も結核性脊椎炎(脊椎カリエス)にかかったことがあり、背中の骨が一部つぶれていたことを思い出します。

結核は結核菌が空気感染する病気です。戦後すぐはペニシリンやストレプトマイシンという抗生物質が特効薬となりましたが、現在は耐性菌の問題もあり、複数のお薬が同時に投与されています。ただ薬剤耐性結核というお薬の効かない結核も出てきています。
栄養状態がよく免疫力の高い普通の人が発症する可能性は低いといわれています。では免疫力を上げるにはどうするか、ちゃんと食べてちゃんと寝ること、そしてお灸をすることです。

モクサアフリカというイギリスの団体が主に南アフリカとウガンダでお灸の普及活動と研究に取り組んでいます。お灸をしていた結核患者さんは、薬の副作用である関節痛と疲労が非常に軽く、結核治療でも他の患者より早く回復したことがわかりました。薬剤耐性結核にも有効でした。お灸は患者さんに自分でやってもらっています。
じつは明治から昭和初期、戦前の日本では結核に、お灸治療が盛んに行われていました。モクサアフリカのお灸も原志免太郎(はらしめたろう)博士のお灸の研究を理論的根拠としています。
日本でも薬剤耐性結核が増えています。一方でリューマチなどの膠原病、ひどいアトピー性皮膚炎などの自己免疫疾患の治療には免疫抑制剤が多用されていますし、免疫力の低下したお年寄りも増えています。
結核による死者の95%以上は低中所得国に集中しています。格差と貧困が広がれば結核が日本の国民病に復活する可能性も0ではありません。お灸の効用は日本でももう少し見直されてもいいのではないでしょうか。

◆モクサアフリカの日本でのHP
http://moxafrica-japan.strikingly.com/
◆専門家はこちらもどうぞ
https://www.morinomiya.ac.jp/images/book/pdf/ShinkyuOsaka106moxafrica.pdf

グラフィックス1.jpg
posted by ゆい at 16:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記