2015年07月27日

キューバの鍼灸と費用対効果にすぐれた医療

結(ゆい)鍼灸院の藤井です。東京の鍼灸学校での教員養成科の講義のため7月30日木曜を臨時休診させていただきます。29日水曜の定休日とあわせ連休となりますので、お気を付けください。なお休診時でも電話予約、予約変更等は受け付けています。電話は通じます。

☆キューバの鍼灸と費用対効果にすぐれた医療

今回はいつもの書き込みとちょっと趣が違います。
アメリカとキューバの国交が回復しました。お互いにとっていいことです。アメリカという大消費地に近く、教育水準が高く、治安のいい国キューバ。経済封鎖もなくなるのですから、これから経済発展していくことでしょう。現状は1人当たりGDPが日本の約6分の1の途上国です。

キューバでは代替療法、鍼灸が盛んに行われていることをご存知でしたか。世界保健統計2015では平均寿命が78歳と日本人の84歳と比べても比較的高く、乳児死亡率は出生千人当たり4.2人(日本2.2人)と途上国としてはいい数字です。アメリカの平均寿命は79歳です。
人口10万人当たりの医師数は750人と日本より3倍以上多く、キューバは医療水準が高い国として知られています。医療費はただですが、キューバの国民一人当たりの医療費は日本の約7分の1と少なく、費用対効果はすぐれています。
1991年の最大援助国ソ連崩壊でどんぞことなったキューバ経済、優れた医師はたくさんいても薬が手に入らない状態が続きました。そこで目をつけたのが代替医療です。ハーブや鍼灸、マッサージ、ヨガ等が研究され普及しました。フィデル、カストロ元首相も菜食主義者にかわりました。追い詰められ悪戦苦闘する中での鍼灸の選択だったでしょうが、費用対効果の面、安くても国民の満足のいく医療ができている点は日本も今後学んでいくところではないでしょうか。

鍼灸だけでなく、家庭医が病気の予防や健康指導に取り組んでいる面も大きいようです。家庭医は高価な医療器材をほとんど持っていませんが、カルテには、個人用のほかに家族用もあり経済状況,家族関係,生活環境等も記載されています。要するに患者さんを生活まるごと知っている医師が話をゆっくり聞き、助言したり注意したり指導したりしているのです。

☆世界の賞賛を浴びるキューバ人医師の国際貢献

キューバの医師たちの国際貢献は世界の賞賛を浴びています。過去50年間で18万人以上の医療関係者を国外派遣。2004年のインド洋大津波、2010年のハイチ大地震なども支援。2014年のエボラ出血熱の際もシエラレオネ、リベリア、ギニアに約450人の医療関係者を派遣しています。
ソ連崩壊後も軍事大国アメリカのすぐ近くで、軍事侵攻を受けることなくキューバが生き延びることができたのは医療面での国際貢献の力も大きかったのではと考えています。軍事力だけに頼らない安全保障です。アメリカも多くの国や国民が恩義を感じている国を攻撃しにくいでしょう。軍事費(対GDP比率)はアメリカ3.81%に対しキューバ3.29%です。同じくソ連から莫大な援助を受けていた北朝鮮が核開発と軍事力強化で延命を図ったのと対照的です。日本も軍事力だけに頼らない安全保障のやり方を工夫した方がいいかもしれません。たとえば中国は病院船を持っています。海に浮かぶ総合病院です。途上国を訪問しては、医療を提供し中国の評判をあげています。アメリカやドイツ、イギリスも持っていますが日本にはありません。

ベネズエラへの約3万人のキューバ人医師の派遣はベネズエラからの安い石油輸入と引き換えのようなもの。善意や理想だけで国際貢献がなされているわけではありません。キューバ経済は停滞し配給の量も減っています。私はキューバ人のやる気を引き出すような資本主義的な要素をもっと経済の中に入れていったほうがいいし、そうなっていくと思っていますが、医療や安全保障政策には学ぶべきものがあると思っています。

※日本政府もキューバと組んで医療機器、医療システムを途上国に売り込もうとしています。いい取り組みです。

政府はアジアやアフリカ、中南米などの発展途上国での病院展開でキューバと提携する。キューバ人の医師に日本の医療技術を伝授し、進出先の病院で医療に従事してもらう。キューバは医療の評価が国際的に高く、約4万人の医師を国外に派遣している。豊富な医療人材を抱える同国と組むことで日本の「医療輸出」を加速させる狙いだ。(日本経済新聞:2015年3月16日)
posted by ゆい at 20:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記