結(ゆい)針灸院 、関西中医鍼灸研究会の藤井です。私は患者さんの不安感を大きくするような言い方は好きではありません。本当に大変な症状なら仕方がありませんが、たいして悪くもないのにおおげさに言って患者さんを不安にする医療従事者も少数ですがいることはいます。治療に一番大切なのは患者さん自身の「治ろうという気持ち」。患者さんの「治ろうという気持ち」を治療家がお手伝いして「治っていく自信」に変えていくのです。そうでなくても不調で気落ちしている患者さんに対し、自信や希望をなくすような発言は厳に慎むべきと考えています。
☆身体の半分だけ調子の悪い患者さん、四十肩
先日、40代の女性が来院されました。左肩が上がらない、昼間も夜も肩が痛い、だんだんと左手に力が入らなくなってきたという症状です。典型的な肩関節周囲炎、四十肩です。すでにある整骨院で2ヶ月にわたって治療をうけていたという事実に驚きました。ちっともよくなっていません。
患者さん「私は左ばかりが悪いんです、左の腰もおかしいし、左脚もだるいし、時々痛みます。なかなか治らないのは私のこの特殊な体質のせいなのでしょうか。前の整骨院の先生もそう言われましたし。」
私「左ばかり悪いという人、右ばかり悪いという人は普通にいらっしゃいます。特殊な体質でもなんでもありません。2ヶ月治療して治らないのは、あなたの身体のせいではなくて、先生の治療技術の問題です。」
一生懸命、治療してもうまくいかないこともあります、しかし四十肩程度の疾患がうまく治せないからといって患者さんの体質のせいにしてはいけません。患者さんの希望を奪い、本当に治りにくくしてしまいます。治らないと患者さんから言われ続けるのは治療家にとってもつらいことです。けれどつらさを患者さんにぶつけてはいけません。
この患者さんは1回の針灸治療で左肩が上がるようになりました。洗濯物が苦労せずに干せるようになったと喜ばれました。日常的な肩の重さ、だるさもなくなりました。治療した夜は痛みもなく久しぶりにぐっすり眠れたそうです。夜の痛みも軽減しました。特殊な体質でないことは明白です。
みなさんも根拠もあいまいなままに不安感をあおりたてるような医療従事者にはお気をつけください。
※治療例は個人情報保護の観点から、患者さんの年齢、状況を大勢に影響ない範囲で少し変えている場合があります。ご了承ください。
◆お盆休みのお知らせ
8月14日日曜〜17日水曜までお休みさせていただきます。
ご感想はmogusa@cb3.so-net.ne.jpまで
ホームページは http://yuisuita.com/
耳鼻のどの専門サイトは http://hari.yuisuita.com/
携帯用ホームページは http://yuisuita.msc.ms2.jp/
2011年07月26日
2011年07月14日
暑熱順化が起こりにくくなっている
暑くなってきました、べたべたしてきました。暑くなって身体が弱る、しんどい。水を飲みすぎて下痢気味になる、脚が重くなる、脚がつる。以上のような重い、だるい、しんどい患者さんが増えてきました。脚が重くなり、つるのは湿邪(過剰な水分)が身体の下にたまるため。脚だけもんでもなかなか治りません。内臓を調整し湿邪をとる治療をしながら治していきます。「夏の定番ですね」といいながら鍼灸できちんと治しています。身体も脚も軽くなります。
☆暑熱順化が起こりにくくなっている
冷房は1960年頃からオフィスに入り始めたました。家庭への冷房の普及は70年代後半から80年頃といわれています。ヒートアイランドと化した都市で冷房の必要なことは自明ですが、一方ほとんどの時間を冷房の中で過ごすことで体温調節機能の退化がはじまっているのではないかと危惧する学者さんもいらっしゃいます。
6月29日発行の結(ゆい)通信No.313で暑さに慣れる暑熱順化について書きましたが、発汗生理学や環境生理学が専門の愛知医科大学の菅屋潤壹教授は「夏季にはエアコンディショニングが常識化したため、夏季に自然に生じる暑熱順化は起こりにくくなっていると言われる。事実だとすれば、熱射病の予防にとっては大きな脅威となる。」と警鐘を鳴らされています。
臨床に携わっていて、20代30代の若い人ほど暑さに弱い人が多いと感じています。弱い人は暑くなるのではなく苦しくなるのです。70年代後半から80年頃の冷房の普及と関係している可能性は大。時には戸外で運動し、汗をかくのもいいしゆっくりお風呂に入るのもお勧めです。ただ運動できないほど疲労している人が多いのも事実。過労の人に運動はさらなる疲労をもたらすだけという面もあります。お風呂に入ってものぼせてしまう場合もあります。浴室をしっかり換気すること、アイスノン等を頭にのせて、頭を冷やしながら浴槽につかってください。
鍼灸は重い、だるい、しんどいを治すだけではありません。汗をかけない、熱のこもりやすい、暑さで苦しくなる身体の状態も改善することができます。
◆首都圏のみなさんへ
震災の鍼灸ボランティアでいっしょに活動した深山由美子先生が21日木曜から渋谷に「リフレッシュサービス」というマッサージの治療院を出されます。被災者の方々に力いっぱいマッサージされていた姿が印象的でした。
場所 渋谷区渋谷2-15-1渋谷クロスタワー2階 電話03-3400-1620 予約優先
被災者にマッサージする深山先生

ご感想はmogusa@cb3.so-net.ne.jpまで
ホームページは http://yuisuita.com/
耳鼻のどの専門サイトは http://hari.yuisuita.com/
携帯用ホームページは http://yuisuita.msc.ms2.jp/
☆暑熱順化が起こりにくくなっている
冷房は1960年頃からオフィスに入り始めたました。家庭への冷房の普及は70年代後半から80年頃といわれています。ヒートアイランドと化した都市で冷房の必要なことは自明ですが、一方ほとんどの時間を冷房の中で過ごすことで体温調節機能の退化がはじまっているのではないかと危惧する学者さんもいらっしゃいます。
6月29日発行の結(ゆい)通信No.313で暑さに慣れる暑熱順化について書きましたが、発汗生理学や環境生理学が専門の愛知医科大学の菅屋潤壹教授は「夏季にはエアコンディショニングが常識化したため、夏季に自然に生じる暑熱順化は起こりにくくなっていると言われる。事実だとすれば、熱射病の予防にとっては大きな脅威となる。」と警鐘を鳴らされています。
臨床に携わっていて、20代30代の若い人ほど暑さに弱い人が多いと感じています。弱い人は暑くなるのではなく苦しくなるのです。70年代後半から80年頃の冷房の普及と関係している可能性は大。時には戸外で運動し、汗をかくのもいいしゆっくりお風呂に入るのもお勧めです。ただ運動できないほど疲労している人が多いのも事実。過労の人に運動はさらなる疲労をもたらすだけという面もあります。お風呂に入ってものぼせてしまう場合もあります。浴室をしっかり換気すること、アイスノン等を頭にのせて、頭を冷やしながら浴槽につかってください。
鍼灸は重い、だるい、しんどいを治すだけではありません。汗をかけない、熱のこもりやすい、暑さで苦しくなる身体の状態も改善することができます。
◆首都圏のみなさんへ
震災の鍼灸ボランティアでいっしょに活動した深山由美子先生が21日木曜から渋谷に「リフレッシュサービス」というマッサージの治療院を出されます。被災者の方々に力いっぱいマッサージされていた姿が印象的でした。
場所 渋谷区渋谷2-15-1渋谷クロスタワー2階 電話03-3400-1620 予約優先
被災者にマッサージする深山先生
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2011年07月11日
中国での被曝者への治療
7月9日の関西中医鍼灸研究会では邵中医師から興味深い話を聞きました。80年代の北京での被曝者への治療の話です。今後の皆様の健康を保つ治療の参考にしていくつもりです。
☆中国での被曝者への治療
北京のある場所に核開発に従事する過程で被曝した研究者、技術者とその家族、子どもたちが住んでいました。彼らは国家の英雄として優遇されていました。治療を受けていた病院のひとつが通県中医院(中医学での治療が中心の病院)。第五研究院という被曝を研究する機関も併設されていました。1984〜86年に邵中医師は通県中医院に勤務し治療にあたりました。白血病やがんなど放射線障害としてよく知られている病気の他に多発していたのが関節リューマチ。関節リューマチは自分の免疫が主に手足の関節を攻撃し、関節痛、関節の変形が生じる代表的な膠原病です。放射線は免疫不全をおこしますから、関節リューマチの多発は納得できる話です。
私は放射線医療の専門家ではないので、ヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリで関節リューマチが注目されたどうかどうかはわかりません。ただ関節リューマチはただちに生死に直結しないのでカウントされなかった可能性はあると推測されます。通県中医院では被曝者とその子どもたちへの関節リューマチ治療が頻繁に行われ、鍼灸と漢方薬が使われました。フクシマでの膠原病や関節リューマチの発生動向も今後の調査が必要と思われます。
余談ですが故毛沢東主席は原水爆の開発は推進したが、原発(中国では核発電)については反対したと聞きました。
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☆中国での被曝者への治療
北京のある場所に核開発に従事する過程で被曝した研究者、技術者とその家族、子どもたちが住んでいました。彼らは国家の英雄として優遇されていました。治療を受けていた病院のひとつが通県中医院(中医学での治療が中心の病院)。第五研究院という被曝を研究する機関も併設されていました。1984〜86年に邵中医師は通県中医院に勤務し治療にあたりました。白血病やがんなど放射線障害としてよく知られている病気の他に多発していたのが関節リューマチ。関節リューマチは自分の免疫が主に手足の関節を攻撃し、関節痛、関節の変形が生じる代表的な膠原病です。放射線は免疫不全をおこしますから、関節リューマチの多発は納得できる話です。
私は放射線医療の専門家ではないので、ヒロシマ、ナガサキ、チェルノブイリで関節リューマチが注目されたどうかどうかはわかりません。ただ関節リューマチはただちに生死に直結しないのでカウントされなかった可能性はあると推測されます。通県中医院では被曝者とその子どもたちへの関節リューマチ治療が頻繁に行われ、鍼灸と漢方薬が使われました。フクシマでの膠原病や関節リューマチの発生動向も今後の調査が必要と思われます。
余談ですが故毛沢東主席は原水爆の開発は推進したが、原発(中国では核発電)については反対したと聞きました。
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2011年07月08日
被災地からの礼状
結(ゆい)針灸院 、関西中医鍼灸研究会の藤井です。鍼灸ボランティアで訪れた被災地から礼状が届きました。離島浦戸諸島、野々島の区長さんと避難者の皆さんからでした。たまたま藤井宛でしたが、これは鍼灸ボランティアに参加した仲間たち、支援していただいた皆さんみんなに届けられたものといえます。一部を紹介させていただきます。
☆被災地からの礼状
震災直後から皆様の数々の温かいご支援に人の温もり絆を感じ、頂戴した物資にただただ感謝する日々でした。ともすると折れそうな気持ちも皆様から寄せられる励ましのお言葉、お声がけに徐々にではございますが現実を直視する勇気が湧いてまいりました。
3ヶ月が過ぎた現在、電気、水道は復帰したもののまだ下水道、電話が回復せず一日も早い復旧が待たれております。震災避難所も徐々に縮小され今は20名を残すのみとなりました。仮設住宅の工事も進められており、7月初めには入居できる見通しです。
これから時間をかけながら海や陸上の瓦礫撤去の作業が始まり、落ち着きを取り戻せるのではと期待しております。身近すぎてあまり感ずることができなかった松島、浦戸の美しい景観を取り戻すためにも又名産の海苔、牡蠣などの漁業生産の再生にも取り組んでまいりたいと思っております。
断続的に続く余震と地盤沈下による高潮被害の発生など心配の種は付きませんが、数年後には必ず復興した野々島をお見せすることで皆様からのご支援に報いたい所存です。
礼状以上
野々島の避難所は浦戸第二小学校浦戸中学校(小中併設校)の体育館に置かれていました。帰りは生徒さんたちといっしょに連絡船に乗りました。子どもたちの元気な笑い声が今も思い出されます。
◆専門家、鍼灸学校学生の皆さんへ
☆専門誌中医臨床6月号で鍼灸ボランティアについて記事を書きました。どうぞご覧ください。鍼灸ボランティアは南三陸町で続いています。詳しくは以下をご覧ください。
http://sinkyu-sos.jimdo.com/
☆7月の関西中医研のお知らせ
◎早川会員の中医学講義 「ツボの効能と経絡弁証」
◎邵中医師の中医学講義
邵中医師は中国在住の頃、中国の核開発の過程で被曝した人々への治療を経験しています。その治療経験を「被爆者への治療」として話してもらいます。また夏季の季節にあわせ「太陰病の治療、脾と肺の治療」についても講義を受けます。
《日時》 7月9日(土) 18:00〜21:00
《場所》大阪市立総合生涯学習センター 第5研修室 (大阪駅前第2ビル5F)
詳しくは以下をご覧ください。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/yuihari/top.htm
野々島の港で浦戸第二小学校浦戸中学校の子どもたちといっしょに連絡船に乗る様子。
☆被災地からの礼状
震災直後から皆様の数々の温かいご支援に人の温もり絆を感じ、頂戴した物資にただただ感謝する日々でした。ともすると折れそうな気持ちも皆様から寄せられる励ましのお言葉、お声がけに徐々にではございますが現実を直視する勇気が湧いてまいりました。
3ヶ月が過ぎた現在、電気、水道は復帰したもののまだ下水道、電話が回復せず一日も早い復旧が待たれております。震災避難所も徐々に縮小され今は20名を残すのみとなりました。仮設住宅の工事も進められており、7月初めには入居できる見通しです。
これから時間をかけながら海や陸上の瓦礫撤去の作業が始まり、落ち着きを取り戻せるのではと期待しております。身近すぎてあまり感ずることができなかった松島、浦戸の美しい景観を取り戻すためにも又名産の海苔、牡蠣などの漁業生産の再生にも取り組んでまいりたいと思っております。
断続的に続く余震と地盤沈下による高潮被害の発生など心配の種は付きませんが、数年後には必ず復興した野々島をお見せすることで皆様からのご支援に報いたい所存です。
礼状以上
野々島の避難所は浦戸第二小学校浦戸中学校(小中併設校)の体育館に置かれていました。帰りは生徒さんたちといっしょに連絡船に乗りました。子どもたちの元気な笑い声が今も思い出されます。
◆専門家、鍼灸学校学生の皆さんへ
☆専門誌中医臨床6月号で鍼灸ボランティアについて記事を書きました。どうぞご覧ください。鍼灸ボランティアは南三陸町で続いています。詳しくは以下をご覧ください。
http://sinkyu-sos.jimdo.com/
☆7月の関西中医研のお知らせ
◎早川会員の中医学講義 「ツボの効能と経絡弁証」
◎邵中医師の中医学講義
邵中医師は中国在住の頃、中国の核開発の過程で被曝した人々への治療を経験しています。その治療経験を「被爆者への治療」として話してもらいます。また夏季の季節にあわせ「太陰病の治療、脾と肺の治療」についても講義を受けます。
《日時》 7月9日(土) 18:00〜21:00
《場所》大阪市立総合生涯学習センター 第5研修室 (大阪駅前第2ビル5F)
詳しくは以下をご覧ください。
http://www001.upp.so-net.ne.jp/yuihari/top.htm
野々島の港で浦戸第二小学校浦戸中学校の子どもたちといっしょに連絡船に乗る様子。
